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平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問24を解説|ORP計は標準液で目盛りを合わせない

平成29年度 汚水処理特論 問24は、酸化と還元のどちらに傾いた水かを電位で読み取る計器についての正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

選択肢は電極の材質と組み合わせ、読み取る量、指標としての性格、基準の取り方という順に並んでいます。狙われているのは、形が似ているpH計との違いです。どちらも2本の電極の間に生じる電位差を読む計器ですが、日常の取り扱いで「合わせる」操作をするかどうかが決定的に違います。pH計と同じつもりで読むと、1つだけ紛れている誤りを素通りしてしまいます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)電子のやり取りを受け止める側には薬品に侵されにくい貴金属を使い、電位の物差しとなる相手側の電極と組みます。組み合わせの説明として正しい記述です。
(2)○(正しい)読み取っているのは2本の電極の間に現れる電位の差です。電流を流して測るのではありません。
(3)×(誤り)この計器は電位差をそのまま表示するため、目盛りを合わせ直す校正という手続きがありません。行うのは、既知の電位を示す液に浸して指示が範囲内かを見る点検です。これが正解の肢です。
(4)○(正しい)得られる値はその水が酸化寄りか還元寄りかという傾き具合を示すもので、特定の物質が何ミリグラム入っているかを示すものではありません。
(5)○(正しい)電位は絶対値として測れないため、水素の電極を基準の零点と決めた相対値として表します。各種の電位の一覧表もこの取り決めで書かれています。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

pH計とこの計器は、外見も配線もよく似ています。どちらも感じ取る側の電極と、電位の基準になる電極を組にして、その間の電位差を読むという仕組みです。ところが測っている量の性格がまったく違います

pH計が読んでいるのは、水素イオンの濃さに応じてガラス膜の内外に生じる電位差です。膜は使ううちに劣化して反応の基準点も傾きもずれていくので、既知の値をもつ標準液に浸して、その2つを合わせ直す作業が欠かせません。これが校正です。

いっぽう酸化還元の計器が読んでいるのは、試料そのものが電極に与える電位差で、変換の途中に膜のような部品が挟まっていません。つまり計器の側に合わせ込むべき基準点も傾きも存在しないため、標準液を使って目盛りを合わせるという校正の考え方がそもそも当てはまりません。JISに定められた校正用の液がある、という書き方は成り立たないわけです。

とはいえ点検が不要なのではありません。電極の表面が汚れたり傷んだりすると応答が鈍くなるため、キンヒドロンを溶かした液のように既知の電位を示す液に浸し、指示が想定される範囲に入っているかを確かめます。範囲から外れれば、研磨や洗浄をするか、電極を交換します。「合わせる」のではなく「確かめる」——この一語の差が、正誤を分ける核心です。

もう一点、値の読み方にも注意が要ります。この値は酸化寄りか還元寄りかという場の状態を示すだけで、どの物質がどれだけあるかは教えてくれません。それでも、めっき排水の処理などでは反応が終わったかどうかの判定に使えるため、濃度を測らずに反応の切れ目をつかむ道具として重宝されています。

覚え方

  • pH計は合わせる、酸化還元の計器は確かめる。標準液で目盛りを合わせるのはpH計のほう
  • 電極の組は貴金属+基準になる電極。読むのは2本の間の電位差。
  • 電位に絶対値はない。水素の電極を零点にした相対値で表す。
  • 示すのは状態であって量ではない。量の多少を示すものではないが、反応の終点判定には使える
  • 指示がおかしいときは電極の汚れを疑う。研磨・洗浄・交換で対処する。

理解度チェック

Q.

pH計には標準液による校正があるのに、酸化還元電位の計器にはないのはなぜですか。

pH計はガラス膜の劣化で基準点と傾きがずれるため合わせ込みが要ります。酸化還元の計器は試料が電極に与える電位差をそのまま表示するので、合わせ込むべき基準点や傾きが計器側に存在しません。

Q.

この計器の値からは、特定の物質がどれだけあるかが分からないのはなぜですか。

その水が酸化的か還元的かという場の傾きを示すだけの値だからです。成分ごとの量に対応する指標ではありません。それでも反応が終わったかどうかの判定には役立ちます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF