平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問22を解説|ミラー変法は溶存酸素の測り方
平成29年度 汚水処理特論 問22は、水質の各項目について、測り方や関係する言葉との対応を問う組合せ問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
並んでいるのは、分析法の名前が2つ、装置まわりの言葉が2つという構成です。装置まわりの言葉は器具の性格を思い出せば片付きますが、分析法は名前だけでは何を測るものか分からず、どの項目の欄に置かれているかを覚えているかどうかが問われます。ひっかけは、名前に酸素の文字を連想させながら、実際には別の項目を測る手法が並べられている点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | ミラー変法は水に溶けている酸素を滴定で求める手法で、規格でも溶存酸素の項に置かれています。有機物を酸化剤で分解して測る項目とは別系統です。これが正解の肢です。 |
| (2) | ○(正しい) | 有機体の炭素は、燃やして二酸化炭素に変え、その二酸化炭素を赤外線の吸収で測ります。炭素そのものの量を出す方法です。 |
| (3) | ○(正しい) | りんはいったん分解してりん酸イオンにそろえ、モリブデンとの化合物を還元して生じる青色の濃さから求めます。 |
| (4) | ○(正しい) | 電極の面積と間隔で決まる係数がセル定数です。測った電気の通りやすさにこの係数を掛けて、試料そのものの値に直します。 |
| (5) | ○(正しい) | pH計は2種類の標準液を使い、指示の基準点と傾きを合わせます。傾きを合わせる側の操作がスパン校正です。 |
ここが分かれ目
分かれ目は、「酸素そのものを測る」のか「酸素に換算して有機物の量を表す」のかという違いです。この2つは似た言葉で語られるのに、測っている相手がまったく違います。
水に溶けている酸素を測る古典的な手法は、試料に薬品を加えて酸素の分だけよう素を遊離させ、それを滴定して量るという筋道でできています。この系統には、妨害となる物質が多い試料に向けたいくつかの変法があり、規格ではミラー変法もこの溶存酸素の欄に並んでいます。名前だけを見て酸素消費量の方法と早合点すると、この肢を見逃します。
いっぽう有機物の量を酸素に換算して表す項目は、酸化剤を加えて有機物を分解させ、その酸化剤がどれだけ消費されたかを見るという考え方です。使う酸化剤は過マンガン酸カリウムや二クロム酸カリウムで、試料に溶けている酸素を測っているわけではありません。「実在する酸素を数えるのか、消費された酸化剤を酸素に読み替えるのか」で区別すると混ざりません。
後半の2つは装置側の言葉です。電気の通りやすさを測る計器では、電極の形の影響を打ち消すための係数が要るのに対し、pH計では標準液で基準点と傾きの2つを合わせるという違いを押さえれば十分です。どちらも「補正・校正のための言葉」という点では同類ですが、掛かる相手が違います。
覚え方
- 名前に惑わされない。ミラー変法は溶存酸素の滴定法、酸素消費量の方法ではない。
- 酸素消費量は酸化剤の減り具合を酸素に読み替えた値。実在の酸素ではない。
- 有機体炭素は燃やして二酸化炭素にして赤外線で見る。炭素の量そのもの。
- りんは分解してりん酸イオンにそろえ、モリブデンの青で発色。
- セル定数は電気の通りやすさ用、スパン校正はpH計用。係数を掛けるのか、標準液で合わせるのか。
理解度チェック
溶存酸素の測定と、有機物量を酸素に換算する測定は、何を測っている点で違いますか。
前者は試料に実際に溶けている酸素の量を測ります。後者は加えた酸化剤がどれだけ消費されたかを測り、その量を酸素に換算して表しているだけです。
電気伝導率の測定でセル定数が必要なのはなぜですか。
測った値が電極の面積と間隔という器具側の形に左右されるためです。その影響をまとめた係数を掛けることで、試料そのものの値に直せます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS K 0102(工場排水試験方法)溶存酸素の測定方法(よう素滴定法・ミラー変法・隔膜電極法ほか)
※ この記事の確認日:2026年7月