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平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問21を解説|酸素は光を消す(消光作用)

平成29年度 汚水処理特論 問21は、光を使う方式の酸素センサのしくみを説明した文章について、下線部の正誤を問う問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

下線が引かれているのは、センサの部品名光を当てる側返ってくる光の種類酸素がその光に及ぼす向き何と結び付けて濃度を出すかの5点です。部品や光の名前はどれも正しく並んでおり、ひっかけは「酸素がいると光がどうなるか」という向きの1点だけに絞られています。酸素は発光を助けるのか、それとも邪魔をするのか。ここを取り違えると、指示値の読み方まで逆になります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)(誤っている箇所)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)薬剤が塗ってあるのはセンサ先端に取り付ける交換式のキャップです。消耗するのはここだけで、劣化したら交換します。
(2)○(正しい)薬剤を光らせるための光を当てる側の素子はセンサの内部にあります。外光を使うわけではありません。
(3)○(正しい)戻ってくるのは、当てた光より波長の長い蛍光あるいはりん光です。この発光の強さと持続時間が測定の手がかりになります。
(4)×(誤り)酸素が及ぼすのは発光を弱める向きの働き(消光作用)です。光を強めるという向きは逆で、ここが誤りです。これが正解の箇所です。
(5)○(正しい)得られた信号を、試料に溶けている酸素の量と結び付けて濃度に換算します。結び付ける相手が酸素の量であること自体は正しい記述です。

選択肢(4)のポイント(ここが誤り)

光を当てられた薬剤の分子は、いったんエネルギーの高い状態になり、そのエネルギーを光として吐き出しながら元に戻ります。これが蛍光・りん光と呼ばれる発光です。ところが酸素分子はこのエネルギーを横から奪い取る性質を持っています。エネルギーを奪われた分子は光を出さずに元へ戻るので、まわりに酸素が多いほど、返ってくる光は弱く、また消えるまでの時間も短くなります。この現象が消光(クエンチング)です。

したがって「酸素によって光が強められる」という向きは事実と正反対です。正しくは酸素が増えるほど暗くなる、という減る向きの関係で、実際の計器はこの減り具合から酸素の量を逆算しています。光の強さそのものより、発光が消えていく速さ(寿命)を測る方式が主流で、こちらは光源の明るさが多少変わっても値が振られにくいという長所があります。

この原理の違いは、実務上の性質にもそのまま表れます。従来からある膜を使った電極方式は、測るときに酸素を消費してしまうため、試料を撹拌して流れを当てておく必要があり、電解液と膜の手入れも欠かせません。これに対し光を使う方式は、酸素を消費しないので流れを当てなくてよく、消耗するのは先端のキャップだけです。「酸素を食べる電極か、酸素に光を消される薬剤か」と対で覚えると、両者の長所短所がつながります。

覚え方

  • 光学式の核心は一語。酸素は光を消す(消光)。増えるほど暗く、短く
  • 「増光」と書いてあれば向きが逆。強めるのではなく弱める
  • 測っているのは発光の強さと寿命。寿命方式は光源の明るさの変動に強い。
  • 電極方式は酸素を消費する。光学式は消費しないので撹拌が要らない
  • 消耗品は先端のキャップだけ。電解液も膜も交換しない

理解度チェック

Q.

光学式の酸素センサでは、酸素が多いほど発光はどうなりますか。

弱くなり、消えるまでの時間も短くなります。酸素が励起状態のエネルギーを奪う消光という現象によるもので、この減り具合から濃度を求めます。

Q.

膜を使う電極方式と比べて、光学式にはどんな利点がありますか。

測定時に酸素を消費しないため試料に流れを当てる必要がなく、電解液や膜の交換も不要です。消耗するのは薬剤を塗った先端のキャップだけで済みます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF
  • JIS K 0102(工場排水試験方法)溶存酸素の測定方法(光学式センサ法・隔膜電極法)