平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問17を解説|嫌気・無酸素・好気法のフロー(返送汚泥は先頭へ、循環液は無酸素槽へ)
平成29年度 汚水処理特論 問17は、窒素とりんの両方をひとつの装置で落とす方式について、槽の並びと二本の戻し配管の行き先を選ぶ問題です。正しいものを選びます。
この問題のポイント
五つの図はどれも槽の並び順が同じで、違うのは戻し配管の行き先だけです。装置には二本の戻しがあり、一本は沈殿池の底からくみ上げる汚泥、もう一本は好気槽の水を前へ送る配管です。この二本をどこへつなぐかで、りんが抜けるかどうかも、窒素が抜けるかどうかも変わります。分かれ目は、先頭の槽が「酸素も窒素の酸化物もない」状態でなければならないという条件を理解しているかどうかです。図の見た目に惑わされず、それぞれの戻しが何を運んでくるかを考えれば、消去法で一つに絞れます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 汚泥の戻し先は正しいのに、好気槽からの液を先頭の槽へ送っているため、窒素の酸化物が持ち込まれます。 |
| (2) | ○(正しい) | 汚泥は先頭へ、好気槽の液は二番目の槽へ。二本の行き先がどちらも狙いどおりです。これが正解です。 |
| (3) | ×(誤り) | 液を送り出す元が好気槽ではなく手前の槽になっており、還元すべき窒素の酸化物がそもそも運ばれてきません。 |
| (4) | ×(誤り) | 液の行き先は正しいものの、汚泥が先頭の槽を素通りして二番目へ入るため、りんを吐き出させる場が働きません。 |
| (5) | ×(誤り) | 二本の行き先が入れ替わっており、窒素の除去もりんの除去も同時に崩れます。 |
ここが分かれ目
先頭の槽は、りんをためこむ性質の細菌にりんをいったん吐き出させるための場所です。細菌が体内のりんを放出するのは、酸素も窒素の酸化物も見当たらないほど条件が厳しく、それでも有機物だけは手に入るという状況に置かれたときにほかなりません。ところが窒素の酸化物は、酸素の代わりとして細菌に使われます。好気槽の水を先頭の槽へ戻すと、そこに含まれる硝酸が酸素代わりに消費されてしまい、りんの放出が起こらなくなります。放出が起こらなければ、続く好気槽での取り込みも進まず、りんは抜けません。
沈殿池から戻す汚泥も同じ理屈で行き先が決まります。りんをためこむ細菌はこの汚泥の中にいるので、汚泥を二番目の槽へ入れてしまうと、肝心の細菌が先頭の槽を経験しないまま好気槽へ進み、りんの出し入れの往復が成立しません。汚泥は必ず先頭へ戻し、原水の有機物と一緒に厳しい環境をくぐらせる必要があります。
もう一本の戻しの役目は窒素です。アンモニアが酸化されるのは好気槽なので、窒素の酸化物ができるのも好気槽です。これを還元して窒素ガスに変える場所は酸素のない二番目の槽なので、好気槽から二番目の槽へ送るのが唯一の筋になります。手前の槽から送っても酸化物はまだ生まれておらず、意味がありません。二本の戻しの役目を「汚泥はりんのため、液は窒素のため」と分けて覚えれば、図を見た瞬間に判別できます。
覚え方
- 返送汚泥は先頭の嫌気槽へ、循環液は好気槽から無酸素槽へ。二本の役目は別。
- りんを吐かせるには、酸素も硝酸もない場所と有機物が要る。硝酸の持ち込みは厳禁。
- 硝酸ができるのは好気槽。だから戻す元は必ず好気槽。
- 汚泥が先頭を素通りすると、りんの放出と過剰摂取の往復が成立しない。
- フロー図の問題は、槽の順番ではなく戻し配管の両端を見る。
理解度チェック
好気槽から戻す液を、先頭の嫌気槽ではなく無酸素槽へ送るのはなぜですか。
硝酸を嫌気槽に持ち込むとりんの放出が妨げられるからです。硝酸は細菌にとって酸素の代わりになるため、これがあると嫌気の条件が崩れます。還元して窒素ガスに変える場は無酸素槽なので、そこへ送るのが筋にかないます。
返送汚泥を先頭の嫌気槽へ戻す理由は何ですか。
りんをためこむ細菌が汚泥の中にいるからです。この細菌に嫌気の条件と原水の有機物を与えてりんを放出させ、その後の好気槽で放出量を上回る量を取り込ませます。途中の槽へ戻すとこの往復が始まりません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月