平成29年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問5を解説|標準酸化還元電位はオゾンが最も高い
平成29年度 汚水処理特論 問5は、四つの酸化還元系を標準酸化還元電位の高いものから低いものへ並べる組合せ問題です。正しい並びを選びます。
この問題のポイント
この電位は、その系がどれだけ強く電子を奪いたがるかを数値化したもので、高いほど酸化剤として強力だという意味になります。基準はすべての電位の原点に置かれた水素の系で、値はゼロです。したがって水素より酸化力の強い相手は必ず正の値をとり、四つのうち三つが正の側に並ぶことになります。分かれ目は正の側の三つの序列で、とくに塩素と酸素のどちらが上かを問われます。空気中にありふれた気体だからといって酸素を低く見積もると、両者の位置が入れ替わってしまいます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各記号の位置づけ
| 記号 | 順位 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | 3番目 | 酸素が水に変わる系です。電位はおよそ1.23 Vで、塩素にわずかに及びません。 |
| イ | 1番目 | オゾンが酸素に戻る系です。およそ2.07 Vと飛び抜けて高く、水処理で使う酸化剤の中では最上位に位置します。 |
| ウ | 4番目 | 水素イオンが水素に変わる系です。電位の原点そのもので、値は0 Vです。 |
| エ | 2番目 | 塩素が塩化物イオンに変わる系です。およそ1.36 Vで、酸素をわずかに上回ります。 |
ここが分かれ目
正の側の三つは、上からオゾン、塩素、酸素の順に並びます。オゾンが突出しているのは直感どおりで、脱色でも脱臭でも殺菌でも、塩素で歯が立たない相手にオゾンが効くという実務の感覚と一致します。難しいのは残る二つで、酸素のほうが塩素より強いと思い込むと、アとエが入れ替わって別の選択肢を選んでしまいます。数値の差はわずか0.1ボルト強ですが、順位としては塩素が上です。
もう一つ、電位の高さと反応の速さは別物である点を押さえてください。酸素は電位こそ塩素に迫りますが、常温の水中では相手を酸化する速さがきわめて遅く、実際の処理では酸化剤として当てにできません。電位が高いことは「反応が進みうる」ことを示すだけで、「速く進む」ことを保証しません。だからこそ、鉄の酸化のように空気で足りる場面と、シアンの分解のように次亜塩素酸を使う場面、色や難分解性の有機物のようにオゾンを持ち出す場面が使い分けられます。
基準が水素であることも大切です。標準酸化還元電位はすべて水素電極を原点として測った相対値であり、値そのものに絶対的な意味はありません。正の値なら水素より酸化力が強い、負の値なら弱い、という読み方をします。四つのうち三つが正、水素だけがゼロという並びを先に押さえれば、あとは正の三つの序列だけを覚えればよいことになります。
覚え方
- 酸化力の順はオゾン>塩素>酸素>水素。塩素が酸素の上、が引っかけどころ。
- 基準は水素電極でゼロ。正なら水素より強い酸化剤、負なら弱い。
- 電位が高い=強い。ただし速いとは限らない。酸素は強いが遅い。
- 実務の使い分けも同じ順。空気で足りなければ塩素系、それでも足りなければオゾン。
- オゾンだけ2 V台。塩素と酸素は1 V台前半で僅差。
理解度チェック
標準酸化還元電位の基準になっているのは何ですか。
水素電極です。水素イオンが水素へ変わる系の電位をゼロと定め、すべての値をそこからの相対値として表します。値が正なら水素より酸化力が強く、負なら弱いという読み方になります。
酸素は塩素より高い電位を持ちますか。また、電位が高いことは反応が速いことを意味しますか。
酸素の電位は塩素よりわずかに低く、順位では塩素が上です。また電位の高さは反応が進みうるかどうかを示すだけで、速さは別問題です。酸素は常温の水中では相手を酸化する速さが遅く、実際の処理では酸化剤として頼りにできません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月