平成28年度 公害防止管理者 公害総論 問15を解説|LCAは地球環境・生態系への影響も含む
平成28年度 公害総論 問15は、ライフサイクルアセスメントに関する正誤問題です。5つの記述のうち正しくないものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、製品の一生をたどって環境への負担を測る手法の、目的・手順・使いみちを押さえているかを見る出題です。引っかけの核心は考慮する影響の守備範囲を狭めた点にあり、本来含まれるものを含まれないと言い切っています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 製品に伴って生じる環境面の要素と、それがもたらしうる影響を見積もる手法だという説明で、定義どおりです。 |
| (2) | ×(誤り) | 地球規模の問題も生態系への影響も、考慮すべき対象に入っています。除かれてはいません。 |
| (3) | ○(正しい) | 目的と調査範囲の設定、インベントリ分析、影響評価、解釈という4つの段階が規格で決められています。 |
| (4) | ○(正しい) | 製品に出入りする資源・エネルギーと排出物を数え上げ、一覧に整理する段階です。 |
| (5) | ○(正しい) | 製品設計の見直しやエネルギーの節減、工程の改善など、実務の判断材料として使われています。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
この手法が扱う影響の範囲は、資源をどれだけ使ったかにとどまりません。温暖化・オゾン層の破壊・酸性化・富栄養化・生態系への毒性といった領域まで広がっており、地球規模の影響も生態系への影響も正面から対象に入っています。これらが含まれないと読むと、4つの段階のうち影響評価が空っぽになり、手法として成り立ちません。数え上げた出入りの量を、どの環境問題にどれだけ効くかへ翻訳する段階こそが影響評価だからです。
この手法の値打ちは、ある工程の負担を減らしたつもりが別の工程に押し付けられていた、という取り違えを見つけられるところにあります。原料の採取から製造・使用・廃棄までを通して見なければ、負担の移し替えは見えません。考慮する範囲を狭めると、この見つけ出す働きがそのまま失われます。同じ理由で、調査の範囲をどこまでとするかを最初に決める段階が第1ステップに置かれています。範囲の設定が結論を左右する手法だ、という理解が出発点になります。
覚え方
- 手順は目的と調査範囲の設定→インベントリ分析→影響評価→解釈の4段階。
- インベントリ分析は数え上げる段階、影響評価は意味づける段階。集めることと評価することは別。
- 考慮する影響は資源消費から地球環境・生態系まで。狭く限定する記述は誤り。
- 狙いは負担の移し替えを見つけること。一生を通して見なければ移し替えは見えない。
理解度チェック
この手法の4つの段階を順に挙げよ。
目的及び調査範囲の設定、インベントリ分析、影響評価、解釈の順です。
インベントリ分析では何を行うか。
その製品に出入りする資源・エネルギーと排出物のデータを集め、明細表として整理します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 公害総論 問題」(公式PDF)
- ISO 14040シリーズ(JIS Q 14040・14044)ライフサイクルアセスメント
※ この記事の確認日:2026年7月