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平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問1を解説|法の目的規定

平成29年度 ダイオキシン類概論 問1は、ダイオキシン類対策特別措置法の第1条が掲げる立法の狙いについて、下線を引かれた5か所から誤りを1つ選ぶ正誤問題です。誤りのある箇所を選びます。

この問題のポイント

第1条は、なぜこの法律が要るのかという前置きから始まり、何のために、どんな道具立てで、誰の何を守るのかという順に並ぶ一続きの文です。下線は物質の危険性の書き方、汚れへの対処の広さ、行政が使う手段、そして最後に守る対象へと、この流れに沿って打たれています。引っかけの核心は手段の部分にあります。この法律は大気・水・土のすべてを扱いますが、目的の一文で「必要な規制」と並べて名指しされる措置は、そのうち一つの媒体に絞られています。規制で押さえられるものと、規制では追いつかないものの線引きが分かっていないと、もっともらしく見えて素通りしてしまいます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)(誤りのある箇所)

各選択肢の正誤

下線正誤読み解き
(1)○(正しい)危険が及ぶ先を、いのちと健康の二つを並べて示す書きぶりで、条文どおりです。
(2)○(正しい)影響の程度を強い言葉で押さえたうえで、可能性の段階でも手を打つと続ける、立法事実の定型的な言い回しです。
(3)○(正しい)これから汚さないことに加えて、すでに汚れた場所を元へ戻す作業まで射程に入っています。
(4)×(誤り)措置の受け持ち先として条文が挙げているのは汚れた土であって、空気や水ではありません。
(5)○(正しい)最後に置かれた保護法益は人の健康です。生活環境の保全までは掲げていません。

選択肢(4)のポイント(ここが誤り)

この法律の道具立ては、大きく二段構えになっています。前段が排出する側への規制で、施設ごとに排出基準を決め、測定と報告を義務づけて、基準を超えたら改善を命じるという流れです。空気に出ていくものと水に流れていくものは、この規制で蛇口を締められます。ところが土は違います。蛇口を締めても、すでに入り込んだものはその場に残り続けます。落ちてきた粒子が積み重なった土地は、排出を止めた翌日から自然に良くなるわけではありません。

そこで法律は、規制とは別に、汚れた土地そのものを調べて手当てする仕組みを用意しました。基準を超える区域を対策の地域として指定し、計画を作って除去や封じ込めを進める、という土地に着目した段取りです。この土地側の仕組みがあるからこそ、目的の一文でも「必要な規制」と並べて土に係る措置が挙げられています。ここを空気と水に読み替えると、直前の「必要な規制」とまるごと重なってしまい、わざわざ二つ並べて書いた意味が消えます。条文が二つの語を並列しているときは、互いに別の役割を持たされているはずだ、と疑ってかかるのが読み方の基本です。

もう一つ、最後の下線にも注意が要ります。環境法の目的規定は、人の体を守ることと暮らしの場を守ることを対にして掲げるのがふつうですが、この法律は人体の側だけを掲げています。ダイオキシン類が問題にされてきた理由が、景観や動植物への影響ではなく人体への毒性そのものだったことの反映です。ここを「生活環境の保全」に差し替えた出題も作れる形なので、対で覚えている人ほど引っかかりやすい箇所です。

覚え方

  • 目的条文の道具立ては物差しづくり+必要な規制+汚れた土への措置の三点セット。
  • 空気と水は「規制」が、土は「措置」が受け持つ。並べて書かれた語は役割が重ならない。
  • 守る対象は人の健康のみ。生活環境の保全は書かれていない。
  • 汚さないことだけでなく、汚れを取り除くところまで目的に入っている。

理解度チェック

Q.

目的の一文で、必要な規制と並べて挙げられている措置は、どの媒体を受け持ちますか。

汚れた土です。排出の蛇口を締めても残ってしまう土地の汚れに、規制とは別建てで手当てするためです。

Q.

この法律の目的規定は、生活環境の保全を掲げていますか。

掲げていません。人の健康を守ることだけが最後に置かれています。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF
  • ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第1条