平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問18を解説|排ガス採取装置に求められる条件
平成29年度 ダイオキシン類特論 問18は、煙道からガスを引いてくる装置が満たすべき条件を、規格の規定に照らして問う正誤問題です。誤っている記述を選びます。
この問題のポイント
採取装置に課される条件は、大きく三系統に整理できます。正しい量を吸えること、目的物質を逃がさず捕まえられること、そして装置の中で目的物質を作りも壊しもしないことです。三つ目は見落とされがちですが、ダイオキシン類の分析では決定的な意味を持ちます。引っかけの核心はダストが積もる部分をどこまで冷やすかという数値で、装置内での作り出しを防ぐ目的から逆算すれば、上限がかなり低いことに気づけます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 吸い込む速さを煙道の流速に合わせる際のずれの許容幅として、規格が示す値と一致します。 |
| (2) | ○(正しい) | 粒子側もガス側も逃がさずに捕らえられることが、装置に課される基本条件です。 |
| (3) | ○(正しい) | 装置の中で目的物質が増えたり減ったりしないことも、同じく満たすべき条件です。 |
| (4) | ×(誤り) | ダストが溜まる部分の温度は、規格では120 ℃以下に保つと定められています。上限がまるで違います。 |
| (5) | ○(正しい) | ろ材・吸収液・吸着剤の三段構えでガスを通す構成で、規格に示された形式のとおりです。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
煙道から引いたガスは、まずろ材を通ってダストが取り除かれます。このとき集まったダストの上には、炭素分・塩素分・金属分がそろっています。規格ではこの部分の温度を120 ℃以下に保つよう求めており、それを守れない場合は水冷式の管を使って冷やすことになっています。つまり数百℃のまま長時間ガスを通し続けることは、規格が明確に禁じている状態です。
なぜ冷やすのかというと、集まったダストが小さな反応場になるからです。焼却炉の後段でダイオキシン類が生まれ直す現象は、ダストの表面に残った炭素と塩素が金属の助けを借りて結合することで起こり、その温度帯はおよそ300 ℃前後を中心とします。採取装置のろ材の上でも、条件がそろえば同じことが起こります。何時間もガスを通し続ける測定では、その積み重ねが無視できない量になります。装置の中で作られた分まで測ってしまえば、実際より高い濃度を報告することになり、対策の判断を誤らせます。
採取の条件としてもう一つ重要なのが、吸い込む速さの合わせ込みです。煙道を流れる速さより速く吸えば、慣性の大きい粗い粒子が入りきらず細かい粒子ばかりを集めてしまい、遅く吸えば逆に粗い粒子が過剰に入ります。ダイオキシン類の多くは粒子に乗って運ばれるので、粒径の偏りはそのまま濃度の偏りになります。流速を合わせずに採ったデータは、粒子側の量が信用できません。だから許容されるずれの幅が規格で決められています。
覚え方
- 装置の条件は三つ。正しく吸う、逃がさず捕らえる、作りも壊しもしない。
- ダストが溜まる部分は120 ℃以下。冷やせない構成なら水冷の管を挟む。
- 冷やす理由は、ろ材の上でダイオキシン類が生まれ直すのを止めるため。
- 生成しやすい温度帯は300 ℃前後。煙道でも装置内でも同じ理屈が働く。
- 吸い込み速度を煙道の流速に合わせないと、集まる粒子の大きさが偏る。
理解度チェック
ろ材の部分を冷やすよう規格が求めているのは、何を防ぐためですか。
装置の中でダイオキシン類が新たに生まれることを防ぐためです。集まったダストが反応場になり、測定値を押し上げます。
吸い込む速さが煙道の流速より速いと、集まる粒子はどう偏りますか。
細かい粒子に偏ります。慣性の大きい粗い粒子が流線から外れて入りきらないためです。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS K 0311「排ガス中のダイオキシン類の測定方法」(試料採取装置の要件、ダスト捕集部の温度、等速吸引の許容誤差)
※ この記事の確認日:2026年7月