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平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問16を解説|アセチレン発生時の残渣と精製

平成29年度 ダイオキシン類特論 問16は、カルシウムカーバイドからアセチレンを取り出す古典的な製法について、反応で何が残り、発生ガスをどう洗うのかを問う下線問題です。下線を引いた五か所から、誤りを含むものを選びます。

この問題のポイント

下線は五か所あり、前半は反応そのもの、後半は発生ガスの精製にかかわります。後半で挙がる薬剤はどれも塩素を含む酸化剤で、有機物と一緒に使われる以上ダイオキシン類の副生が避けられません。だからこそこの工程が試験に出てくるわけですが、実際に狙われているのは前半の化学反応の生成物です。カルシウムの側がどんな姿で残るのかを、反応式を一本書いて確かめられるかどうかで決まります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤理由
(1)○(正しい)この製法は、カーバイドへ水をかけて分解させ、その場でガスを取り出すものです。
(2)×(誤り)水との反応で残るのはカルシウムの水酸化物、いわゆる消石灰です。炭酸塩にはなりません。
(3)○(正しい)硫黄やりんの化合物を酸化して取り除くため、塩素系の酸化剤の水溶液が使われます。
(4)○(正しい)同じ役割を果たす固体の塩素剤で、水に溶かして洗浄液として用いられます。
(5)○(正しい)酸化剤の液を循環させてガスを接触させる塔で、この後にさらに湿式の洗浄が続きます。

選択肢(2)のポイント(ここが誤り)

カルシウムカーバイドは炭素とカルシウムからなる化合物で、水と出会うと激しく分解します。式で書けば、CaC2 + 2H2O → C2H2 + Ca(OH)2 です。炭素側は水素を受け取ってアセチレンになり、カルシウム側は水酸化物として残ります。ここには二酸化炭素の供給源がどこにもありませんから、カルシウムの側が炭酸塩の形で残ることはありません。反応後に残るのは消石灰で、現場ではカーバイド滓と呼ばれ、中和剤や土壌改良材として再利用されます。

そもそも原料のカーバイドは、生石灰とコークスを電気炉で高温にして作ります。原料の段階で炭酸塩から二酸化炭素を追い出しているので、生成物の側で炭酸塩に戻るという筋書きは工程全体と矛盾します。石灰にまつわる三つの物質を混同するのがこの手の設問の定番で、炭酸カルシウムは石灰石、酸化カルシウムは生石灰、水酸化カルシウムは消石灰と、名前と姿を結びつけておく必要があります。

ダイオキシン類の観点からこの工程が問われるのは、後半の洗浄にあります。塩素を含む酸化剤の水溶液が、アセチレンや随伴する有機不純物と接触するため、塩素化された副生物が生まれる余地があります。生成量そのものはごく微量でも、塩素系酸化剤と有機物の組合せは副生の典型的な舞台であり、洗浄廃水の測定が求められる理由になっています。

覚え方

  • カーバイド+水=アセチレン+消石灰。二酸化炭素は出てこない。
  • 石灰の三兄弟を区別する。石灰石は炭酸塩、生石灰は酸化物、消石灰は水酸化物。
  • 残った消石灰はカーバイド滓として中和や土壌改良に回る。
  • ガスの精製に使うのは塩素系の酸化剤。硫黄やりんの不純物を酸化して落とす。
  • 塩素系薬剤と有機物が接する場所には、微量でも塩素化副生物を疑う。

理解度チェック

Q.

カーバイドが水と反応したあと、カルシウムはどんな姿で残りますか。

水酸化カルシウム(消石灰)です。系内に二酸化炭素がないので、炭酸塩にはなりません。

Q.

この製法でダイオキシン類が問題になるのは、どの段階ですか。

発生ガスを塩素系の酸化剤で洗う段階です。塩素と有機物が同じ場所に居合わせるため、微量の副生が起こります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF