平成29年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問15を解説|ろ紙の選び方(耐熱の上限を数字で持つ)
平成29年度 ばいじん・粉じん特論 問15は、ダストを捕まえるろ紙の形・寸法・使い方・材質に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
ろ紙まわりには、直径の下限、面積あたりの捕集量、通過する流速の上限といった数字の決まりが並びます。この問題はそれらを四つ正しく並べたうえで、最後の一つだけ材質と温度の組合せを入れ替えています。耐熱性が高い材質だと覚えていると、そのまま正しい記述に見えてしまう。しかし耐熱性が高いことと、上限がないことは別です。上限の数字を持っているかどうかで、答えが割れます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 平たい円形のものと、筒状のものの2つの形が使われます。ダクトの外で捕るか中で捕るかで使い分けます。 |
| (2) | ○(正しい) | 小さすぎると捕集面積が足りず必要な量を捕れないため、直径には下限が設けられています。 |
| (3) | ○(正しい) | 少なすぎると秤量の誤差が効き、多すぎると目詰まりします。面積あたりの量で目安を置くのが正しい扱いです。 |
| (4) | ○(正しい) | 速く通しすぎると捕らえきれない粒子が増えるため、流速の上限に合うサイズを選びます。 |
| (5) | ×(誤り) | ガラス繊維でできたものの使用温度を超える条件で、シリカ繊維製に替える場面です。これが正解です。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
ガラス繊維でできたろ紙は、耐熱性が高く強度もあるため高温の排ガス向けとして定番です。しかしJIS Z 8808では使用温度の上限が500℃以下と定められており、それを大きく超える条件では使えません。この問題が挙げる温度はその上限のはるか上ですから、材質の選定として成り立ちません。ここで選ぶべきはシリカ繊維でできたろ紙で、こちらは1000℃以下まで使用温度が認められています。
上限を超えて使うと何が起きるかを考えれば、なぜ厳密に決められているのかも見えてきます。繊維が軟らかくなって形が崩れれば、目が開いてダストを取りこぼします。ろ紙そのものが焼けて軽くなれば、捕集量を質量差で求めるという測定の土台が崩れます。捕らえる性能と、量るための安定性の両方が失われるわけで、どちらか一方でも欠ければ測定値は使えません。
材質選びの軸はもう一本あります。ガラス繊維でできたものは、硫黄酸化物が混じった排ガスでは大きな誤差を生じることがあります。つまり温度の上限と、共存するガスとの相性の二つを見て決めるということです。「耐熱性が高い」という言葉だけを頼りにすると、上限も相性も飛ばして判断してしまいます。材質の名前とセットで数字を持っておくのが、この分野の確実な備え方です。
覚え方
- ろ紙の材質はまず温度で決める。ガラス繊維は500℃まで、超えるならシリカ繊維。
- 「耐熱性が高い」は上限がないという意味ではない。材質の名前と上限の数字をセットで持つ。
- 数字で縛られるのは3つ。直径の下限、面積あたりの捕集量、通過する流速の上限。
- 上限を超えると、目が開いて取りこぼし、ろ紙自身が軽くなって秤量も狂う。二重に壊れる。
- ガラス繊維は硫黄酸化物が混じった排ガスで誤差が出る。温度と共存ガスの二軸で選ぶ。
理解度チェック
排ガスが700℃に達する場合、ガラス繊維でできたろ紙は使えるか。
使えません。使用温度の上限は500℃以下と定められています。この条件ではシリカ繊維製(1000℃以下)を選びます。
ろ紙を抜けるときの見掛けの流速に上限があるのはなぜか。
速く通しすぎると捕らえきれない粒子が増え、圧力損失も大きくなるためです。上限に収まるよう、ろ紙のサイズを決めます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS Z 8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」(ろ紙の材質と使用温度)
※ この記事の確認日:2026年7月