平成29年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問1を解説|重油燃焼ボイラーダストの性状
平成29年度 ばいじん・粉じん特論 問1は、重油をたくボイラーから出るダストの性状に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
重油をたいたときに出る粉体は、燃え残りの炭素分・灰分・硫黄由来の酸性成分がひとまとまりになった、性格のはっきりしたダストです。5つの記述は、燃焼条件・粒子の姿かたち・表面に付いているもの・煙道での後処理という4つの角度から並んでいて、そのうち1つだけが事実と逆を向いています。分かれ目は発生する量が動くことと、粒子径の分布の形が動くことを混同させる点にあります。装置や燃料が変われば出る量は当然変わりますが、分布の形まで大きく崩れるかどうかは別の話です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○ | 酸素を絞った燃やし方では炭素が燃え切らず、燃え残りの炭素分が増えます。窒素酸化物を抑える運転と引き換えの関係です。 |
| (2) | ○ | 大きく穴だらけの燃え殻と、すすに当たる極めて細かい粒子が同居します。粗大側と極微細側の二本立てがこのダストの姿です。 |
| (3) | ○ | 重油には硫黄分があり、燃えて生じた酸性成分と水分が多孔質な粒子の表面に取り込まれます。取り扱いにくさの原因です。 |
| (4) | ×(誤り) | 装置の形式や油種が違っても、粒子径の分布そのものは大きくは動きません。動くのは主に発生量のほうです。 |
| (5) | ○ | 煙道でアンモニアを吹き込むと酸性成分が中和されて塩になり、固体の粒子として捕らえられます。低温腐食の抑制にもつながる手です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
重油をたいて出るダストの粒子径分布は、粗大な燃え殻の山と、極微細な炭素粒子の山が並ぶ形になります。この二山の骨格は、燃やす装置の作りが多少違っても、油の銘柄が多少違っても、そう簡単には崩れません。粗大側は油滴が燃え切った跡の殻であり、極微細側は気相で炭素が析出してできる粒子であって、どちらも生成の仕組みが燃料の種類ではなく燃焼という過程そのものに由来するからです。
では何が動くのか。動くのは出てくる量です。灰分の多い油をたけば粗大側の量が増え、空気を絞れば極微細側の量が増えます。量の増減を分布の形の変化とすり替えたのが、この選択肢の誤りです。集じん装置を選ぶときに効いてくるのは分布の形のほうなので、この二つを混ぜて理解していると装置選定の考え方まで崩れます。
対比で覚えると強くなります。石炭を粉にしてたく場合は灰分が桁違いに多く、灰が主役のダストになります。重油の場合は灰分が少ないぶん、炭素分と硫黄由来の成分が性格を決めるという違いがあり、そこが出題の狙いどころです。
覚え方
- 重油のダストは粗大な燃え殻+極微細な炭素の二山。この形は装置や油種では崩れない。
- 装置・燃料で変わるのは量、変わりにくいのは分布の形。この二語を取り違えさせる問題は多い。
- 酸素を絞る運転=窒素酸化物は減るが燃え残りの炭素は増える。得と損はセット。
- 煙道でアンモニアを入れる目的は酸性成分を塩に変えて固めること。捕集しやすさと腐食対策の一石二鳥。
理解度チェック
重油をたくボイラーで装置の形式や油の銘柄が変わったとき、ダストについて大きく変わるのは何ですか。
発生する量です。粒子径の分布の形は、粗大な燃え殻と極微細な炭素粒子が並ぶ姿のまま大きくは変わりません。
酸素を絞った燃やし方をすると、ダスト側にはどんな影響が出ますか。
炭素が燃え切らず、燃え残りの炭素分が増えます。窒素酸化物を抑える狙いと引き換えに、ダストの側では不利になる関係です。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月