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ボイラーの冷却の順序とは?5段階の手順と40℃以下

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ボイラーって、整備の前にどうやって冷ますの?

この記事の要点

ボイラーの冷却の順序とは、整備のために火を止めたボイラーを、中へ入れる状態まで安全に冷ましていく手順のことです。

順序は確認 → 自然通風 → 徐々に冷却 → 空気抜弁を開く → ボイラー水を排出空気抜弁が先で、排出が後です。

40℃以下まで冷やします。れんが積みのあるボイラーは、少なくとも一昼夜以上かかります。

ボイラーの冷却は、機械的清浄作業の前にやることです。人が中に入って、すすや灰の付き方を見ます。

止めた直後のボイラーは、中も外も熱を持ったままです。急に冷やせば材料が傷み、水を先に抜けば胴がへこみます。

だから冷却には順序があります。5つの操作を、決まった並びで進めます。

冷却の5段階

ボイラーの冷却とは、燃焼を止めたボイラーを、人が中へ入って作業できる状態まで冷ますことです。

操作
1 燃焼が停止していること及び燃料が燃え切っていることを確認する
2 ダンパを半開し、たき口及び空気入口を開き自然通風する
3 なるべく時間をかけて徐々に冷却する
4 圧力がなくなったことを確認し、空気抜弁その他の気室部の弁を開く
5 吹出しコック又は吹出し弁を開いてボイラー水を排出する

筋は火を止める → 空気を通す → 冷ます → 空気を入れる → 水を抜くです。

空気抜弁と水の排出の前後

左は空気抜弁を開かずにボイラー水を抜いた状態で、胴の左右が内側へへこんでいる。まわりの大気圧が胴を外から押している。右は空気抜弁を開いてから水を抜いた状態で、弁から空気が入るため胴の形は変わらない。
模式図。へこみ方を分かりやすく描いたもので、形・寸法は実物どおりではない。

順序を逆にすると、水が抜けた分だけ中が負圧になります。

ボイラーは、内側からの圧力に耐えるように作られています。外から押される力には強くありません。密閉したまま水だけを抜けば、外の大気圧に押されて胴がへこむおそれがあります。

先に空気抜弁を開けておけば、水が抜けた分だけ空気が入ってきます。これで中と外の圧力が釣り合います。

灯油をポリタンクから注ぐとき、上のフタを開けないと出が悪くなります。あれと同じで、抜けた分の空気が入る道が要ります。

ただし、空気抜弁を開くのは圧力がなくなったことを確認してからです。圧力が残っているうちに開ければ、蒸気が吹き出します。

40℃以下・一昼夜以上という冷やし方

項目 内容
到達温度 長時間かけて徐々に冷却し、40℃以下にする
れんが積みのある
ボイラー
少なくとも一昼夜以上冷却する
中へ入る前 炉内や煙道各部が十分冷却されていることを確認してから入る

徐々に冷やすのは、急に冷やすと材料に温度差ができて、縮み方が偏るからです。

れんが積みがあると一昼夜以上かかるのは、れんがが熱をため込んでいて、なかなか温度が下がらないためです。表面が冷えていても、内側はまだ熱を持っています。

この冷却は、人が中に入るための準備です。40℃以下という値は、そこまで下げてから入る、という線として示されています。

冷却を早めるときの循環吹出し

やむを得ず冷却を早める必要があるときは、冷水を送りながら吹出しを行う循環吹出しの方法をとります。

水を抜いて空気で冷やすのではありません。内部を水で満たしたまま、冷たい水と入れ替えて温度だけ下げます。水は空気より熱を運ぶ力が大きく、しかも全体が同じように冷えます。

ただし、これはやむを得ないときの方法です。基本はなるべく時間をかけて徐々に冷やすことで、循環吹出しはそれができない場合に使います。

圧力容器の熱源の遮断

圧力容器の場合は、冷やす前に熱の供給元を断ちます

やり方は2つで、熱源側の高温流体を完全に排除するか、入口側の止め弁に遮断板を入れるかです。どちらでも、他の高温流体容器との連絡を完全に遮断できます。

止め弁を閉じるだけでは、漏れれば熱が入ってきます。遮断板を挟めば物理的に切れます。同じ考え方は水圧試験の準備にも出てきます。

整備での確認ポイント

  • 燃焼の停止と、燃料が燃え切ったことを確認してから始める。順序の1番目です。
  • ダンパは半開にする。全閉ではありません。たき口と空気入口を開いて自然通風します。
  • 圧力がなくなったことを確認してから、空気抜弁その他の気室部の弁を開く。圧力が残っていれば蒸気が吹き出します。
  • ボイラー水を排出するのは、空気抜弁を開いた後。先に抜くと負圧になります。
  • れんが積みがあれば一昼夜以上みておく。表面が冷えても内側は熱を持っています。
  • 中へ入る前に、炉内や煙道各部が十分冷却されていることを確認する。

混同しやすい用語の整理

空気抜弁を開く と ボイラー水を排出する

順序は空気抜弁が先排出が後。逆にすると内部が負圧になり、外圧でへこむおそれがある。

自然通風 と 循環吹出し

自然通風はダンパを半開し、たき口や空気入口を開いて空気を通すこと。順序の2番目。循環吹出しは冷水を送りながら吹き出す方法で、やむを得ず冷却を早めるときに使う。

止め弁の閉止 と 遮断板

止め弁の閉止だけでは漏れる可能性がある。遮断板を入れれば物理的に切れる。

過去問でどう問われたか

冷却は、令和5年10月から令和8年4月まで問1で4回出ています(令和7年4月の問1は別の主題)。狙われるのは空気抜弁とボイラー水の排出の前後の1か所で、4回のうち3回がここを逆にした形でした。残る1回は、5つの操作を並べ替えさせる形です。

回・問 問われ方/引っかけ
令和5年10月 問1 「空気抜弁その他の気室部の弁は、吹出しコックや吹出し弁を開いてボイラー水を排出し始めてから開く」とした記述=誤り(正しくは空気抜弁が先)。自然通風、40℃以下、れんが積みの一昼夜以上、循環吹出しは正しい側
令和6年10月 問1 5つの操作の並べ替え。正答は(2)=C(燃焼停止の確認)→D(自然通風)→A(徐々に冷却)→E(空気抜弁を開く)→B(ボイラー水を排出)。誤りの選択肢は、Aを2番目に上げたり、Eを3番目に繰り上げたりする形
令和7年10月 問1 「吹出しコックや吹出し弁を開き、ボイラー水を排出した後に、空気抜き弁その他の気室部の弁を開く」とした記述=誤り。主語を弁から作業者に変えて、同じ前後を書いている
令和8年4月 問1 「空気抜弁その他の気室部の弁は、吹出しコックや吹出し弁を開いてボイラー水を排出した後に開く」とした記述=誤り。令和5年10月の「排出し始めてから」を「排出した後に」に替えただけ

圧力容器の熱源の遮断(令和7年10月・令和8年4月)と循環吹出し(3回)は、いずれも正しい側で出ています。

引っかけのパターン

  • 空気抜弁と水の排出の前後を逆にする:「排出し始めてから」「排出した後に」と言い方を替えながら、同じ前後を3回書いています(令和5年10月・令和7年10月・令和8年4月)。水が先に抜ければ、その分の空気が入る道がありません。

空気の道を開けてから、水を抜きます。

理解度チェック

Q.

空気抜弁を先に開くのはなぜか。

先に水を抜くと、抜けた分だけ中が負圧になるためです。ボイラーは内側からの圧力に耐えるように作られていて、外から押される力には強くありません。空気抜弁を開けておけば、抜けた分の空気が入ってきます。

Q.

れんが積みのあるボイラーで、冷却に一昼夜以上かかるのはなぜか。

れんがが熱をため込んでいて、なかなか温度が下がらないためです。表面が冷えていても、内側はまだ熱を持っています。

Q.

冷却を早めるとき、水を抜いて空気で冷やさないのはなぜか。

冷水を送りながら吹出しを行う循環吹出しなら、内部を水で満たしたまま温度だけ下げられるからです。水は空気より熱を運ぶ力が大きく、全体が同じように冷えます。

Q.

圧力容器で、止め弁の閉止だけにしないのはなぜか。

止め弁は漏れる可能性があり、漏れれば熱が入ってくるためです。入口側の止め弁に遮断板を入れれば物理的に切れます。熱源側の高温流体を完全に排除する方法もあります。

まとめ

  • 順序=確認 → 自然通風 → 徐々に冷却 → 空気抜弁を開く → ボイラー水を排出
  • 空気抜弁が先、排出が後。逆は3回とも誤り
  • 空気抜弁を開くのは、圧力がなくなったことを確認してから
  • 40℃以下まで、長時間かけて徐々に冷やす
  • れんが積みのあるボイラーは少なくとも一昼夜以上
  • 早めるときは循環吹出し。水を抜いて冷やすのではない
  • 圧力容器は熱源側を排除するか、遮断板で完全に切り離す

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公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公開している公表試験問題と正答を出発点に、ボイラー構造規格・ボイラー及び圧力容器安全規則・日本産業規格などの一次資料にあたって、出題された論点を整理しています。

参考資料

  • 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「ボイラー整備士免許試験 公表試験問題」令和5年10月公表 問1、令和6年10月公表 問1、令和7年10月公表 問1、令和8年4月公表 問1

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