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化学洗浄用薬品とは?酸とアルカリの区分と選び方

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化学洗浄って何の薬品を使うの? どれを使うかはどう決まるの?

この記事の要点

化学洗浄用薬品とは、ボイラーの内面に付いたスケールを、薬品の力で溶かして落とすために使う薬剤のことです。

分かれ方は酸かアルカリか、酸なら無機酸か有機酸かです。塩酸・硫酸=無機酸クエン酸=有機酸

銅を多く含むスケールの洗浄剤は、アンモニアです。

ボイラーの内面に付いたスケールは、機械的清浄作業のように削り取るだけでは落ちきりません。薬品で溶かして落とすのが化学洗浄です。

使う薬品は1種類ではありません。スケールにカルシウムが多いか、銅が多いか、シリカを含むかで、効く薬品が変わります。

だから薬品を決める前に、予備調査でスケールを採取して化学分析にかけ、溶解試験を行います。

洗浄に使う5つの薬品

区分 薬品 性質と使いどころ
無機酸 塩酸 シリカ系以外のスケール成分に対して溶解力が強い。スケールとの反応により生成する各種塩類の溶解度が大きい
硫酸 洗浄剤として用いられるが、カルシウムを多く含むスケールの除去には適さない
有機酸 クエン酸 一般に80〜100℃の温度で使用される
アルカリ アンモニア を多く含むスケールの洗浄剤として用いられる
水酸化ナトリウム 中和剤として用いられるほか、潤化処理にも用いられる

銅が多いスケールにアンモニアを使う場面

スケールに銅が多く含まれることがあります。

これを酸で洗うと、銅が銅(Ⅱ)イオンになって洗浄液に溶け出します。溶け出した鉄(Ⅲ)イオンや銅(Ⅱ)イオンの量に比例して、こんどは鋼材のほうが腐食されます。スケールを落とすつもりが、母材を削ることになります。

だから銅が多いスケールは、酸だけで押し切りません。予備調査の分析と溶解試験の結果を見て、潤化処理やアンモニア洗浄が要るか、還元剤をどれだけ使うかを決めます。

この場面で使う洗浄剤がアンモニアです。硫酸・塩酸・スルファミン酸・亜硫酸ナトリウムは、銅向けの洗浄剤ではありません。

無機酸と有機酸の分かれ目

無機酸は塩酸硫酸です。有機酸はクエン酸で、ほかにぎ酸があります。洗浄に広く使われているのはクエン酸です。

分かれ目は炭素を骨格に持つかどうかです。クエン酸は炭素の骨格を持つので有機酸になります。

どちらの側であっても、酸である以上は母材の鋼を腐食させます。無機酸のほうが洗浄後の仕上がりが良く腐食の危険が少ない、という比較は成り立ちません。だから酸洗浄では、酸の種類にかかわらずインヒビタを洗浄剤に添加します。

整備での確認ポイント

  • 予備調査でスケールの成分を調べてから薬品を決める。採取した試料を化学分析し、溶解試験で効果的な洗浄方法を検討します。
  • 銅が含まれていればアンモニアを検討する。分析の結果で薬品が変わります。
  • クエン酸は80〜100℃で使う。温度が低いと効きません。
  • 洗浄剤にはインヒビタを添加する。酸による母材の腐食を防ぐためです。
  • 薬品ごとの保護具を使う。酸もアルカリも、皮膚と目に危険です。

混同しやすい用語の整理

無機酸 と 有機酸

無機酸は塩酸・硫酸。有機酸はクエン酸・ぎ酸。分かれ目は炭素の骨格を持つかどうか。

塩酸 と 硫酸

塩酸シリカ系以外のスケールに溶解力が強い。硫酸カルシウムを多く含むスケールには適さない。得意なスケールが違う。

アンモニア と 水酸化ナトリウム

アンモニアを多く含むスケールの洗浄剤。水酸化ナトリウム中和剤潤化処理。同じアルカリ側でも役割が違う。

過去問でどう問われたか

化学洗浄用薬品が主題になったのは、令和6年10月の問15と令和7年4月の問14の2回です。あわせて令和8年4月の問6でも、酸洗浄の設問の中で無機酸と有機酸の性質が問われました。狙われるのは「酸の種類」と「どのスケールに効くか」の2か所です。

回・問 問われ方/引っかけ
令和6年10月 問15 クエン酸を「無機酸の洗浄剤で、一般に80〜100℃の温度で使用される」とした記述=誤り(クエン酸は有機酸。後半の80〜100℃は正しい)
令和7年4月 問14 銅を含むスケールの洗浄剤として最も適切なものを5つから選ばせた。正答はアンモニアで、残りの硫酸・塩酸・スルファミン酸・亜硫酸ナトリウムはいずれも銅向けではない
令和8年4月 問6 「無機酸は、有機酸に比べて洗浄後の金属表面の仕上がりが良く、腐食の危険性が少ない」とした記述=誤り(無機酸のほうが腐食の危険が少ないとは言えない)

硫酸(カルシウムを多く含むスケールには適さない)、水酸化ナトリウム(中和剤・潤化処理)、アンモニア(銅を多く含むスケール)、塩酸(シリカ系以外)は、令和6年10月の問15で正しい側で出ました。

引っかけの3つのパターン

  • ① 酸の種類のすり替え:クエン酸を有機酸から無機酸に書き換える(令和6年10月)。使用温度の80〜100℃は正しいままなので、前半だけが違う。
  • ② 薬品と効くスケールの組み合わせ:銅にはアンモニア、シリカ系以外には塩酸、カルシウムが多いものに硫酸は不適。薬品名の直後に来る成分名を見る(令和7年4月・令和6年10月)。
  • ③ 無機酸と有機酸の性質の比較:無機酸のほうが安全だという向きで比べる(令和8年4月)。

薬品名の直後に来る「〜酸の洗浄剤」「〜を多く含むスケール」を先に読んでください。

理解度チェック

Q.

銅を多く含むスケールにアンモニアを使うのはなぜか。

アンモニアが銅と結びついて安定した形をつくり、溶かしたまま流し出せるためです。酸だけで洗うと、溶けた銅が再び金属として析出することがあります。

Q.

クエン酸は無機酸か有機酸か。

有機酸です。炭素を骨格に持つ酸で、塩酸や硫酸のような無機酸とは成り立ちが違います。一般に80〜100℃の温度で使用されます。

Q.

洗浄薬品を決める前に何をするか。

予備調査でスケールを採取し、化学分析と溶解試験を行います。成分によって効く薬品が変わるためです。

Q.

水酸化ナトリウムは何に使うか。

中和剤として用いられるほか、潤化処理にも用いられます。同じアルカリ側でも、銅向けの洗浄剤であるアンモニアとは役割が違います。

まとめ

  • 化学洗浄用薬品=スケールを薬品の力で溶かして落とす薬剤。成分に合わせて選ぶ
  • 塩酸シリカ系以外に溶解力が強い/硫酸=カルシウムを多く含むスケールには適さない
  • クエン酸有機酸。ほかにぎ酸。一般に80〜100℃で使用
  • アンモニアを多く含むスケールの洗浄剤
  • 水酸化ナトリウム=中和剤として用いるほか、潤化処理にも用いる

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公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公開している公表試験問題と正答を出発点に、ボイラー構造規格・ボイラー及び圧力容器安全規則・日本産業規格などの一次資料にあたって、出題された論点を整理しています。

参考資料

  • 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「ボイラー整備士免許試験 公表試験問題」令和6年10月公表 問6・問15、令和7年4月公表 問6・問14、令和8年4月公表 問6

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