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化学洗浄って何の薬品を使うの? どれを使うかはどう決まるの?
この記事の要点
化学洗浄用薬品とは、ボイラーの内面に付いたスケールを、薬品の力で溶かして落とすために使う薬剤のことです。
分かれ方は酸かアルカリか、酸なら無機酸か有機酸かです。塩酸・硫酸=無機酸、クエン酸=有機酸。
銅を多く含むスケールの洗浄剤は、アンモニアです。
ボイラーの内面に付いたスケールは、機械的清浄作業のように削り取るだけでは落ちきりません。薬品で溶かして落とすのが化学洗浄です。
使う薬品は1種類ではありません。スケールにカルシウムが多いか、銅が多いか、シリカを含むかで、効く薬品が変わります。
だから薬品を決める前に、予備調査でスケールを採取して化学分析にかけ、溶解試験を行います。
| 区分 | 薬品 | 性質と使いどころ |
|---|---|---|
| 無機酸 | 塩酸 | シリカ系以外のスケール成分に対して溶解力が強い。スケールとの反応により生成する各種塩類の溶解度が大きい |
| 硫酸 | 洗浄剤として用いられるが、カルシウムを多く含むスケールの除去には適さない | |
| 有機酸 | クエン酸 | 一般に80〜100℃の温度で使用される |
| アルカリ | アンモニア | 銅を多く含むスケールの洗浄剤として用いられる |
| 水酸化ナトリウム | 中和剤として用いられるほか、潤化処理にも用いられる |
スケールに銅が多く含まれることがあります。
これを酸で洗うと、銅が銅(Ⅱ)イオンになって洗浄液に溶け出します。溶け出した鉄(Ⅲ)イオンや銅(Ⅱ)イオンの量に比例して、こんどは鋼材のほうが腐食されます。スケールを落とすつもりが、母材を削ることになります。
だから銅が多いスケールは、酸だけで押し切りません。予備調査の分析と溶解試験の結果を見て、潤化処理やアンモニア洗浄が要るか、還元剤をどれだけ使うかを決めます。
この場面で使う洗浄剤がアンモニアです。硫酸・塩酸・スルファミン酸・亜硫酸ナトリウムは、銅向けの洗浄剤ではありません。
無機酸は塩酸と硫酸です。有機酸はクエン酸で、ほかにぎ酸があります。洗浄に広く使われているのはクエン酸です。
分かれ目は炭素を骨格に持つかどうかです。クエン酸は炭素の骨格を持つので有機酸になります。
どちらの側であっても、酸である以上は母材の鋼を腐食させます。無機酸のほうが洗浄後の仕上がりが良く腐食の危険が少ない、という比較は成り立ちません。だから酸洗浄では、酸の種類にかかわらずインヒビタを洗浄剤に添加します。
混同しやすい用語の整理
無機酸は塩酸・硫酸。有機酸はクエン酸・ぎ酸。分かれ目は炭素の骨格を持つかどうか。
塩酸はシリカ系以外のスケールに溶解力が強い。硫酸はカルシウムを多く含むスケールには適さない。得意なスケールが違う。
アンモニアは銅を多く含むスケールの洗浄剤。水酸化ナトリウムは中和剤と潤化処理。同じアルカリ側でも役割が違う。
化学洗浄用薬品が主題になったのは、令和6年10月の問15と令和7年4月の問14の2回です。あわせて令和8年4月の問6でも、酸洗浄の設問の中で無機酸と有機酸の性質が問われました。狙われるのは「酸の種類」と「どのスケールに効くか」の2か所です。
| 回・問 | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和6年10月 問15 | クエン酸を「無機酸の洗浄剤で、一般に80〜100℃の温度で使用される」とした記述=誤り(クエン酸は有機酸。後半の80〜100℃は正しい) |
| 令和7年4月 問14 | 銅を含むスケールの洗浄剤として最も適切なものを5つから選ばせた。正答はアンモニアで、残りの硫酸・塩酸・スルファミン酸・亜硫酸ナトリウムはいずれも銅向けではない |
| 令和8年4月 問6 | 「無機酸は、有機酸に比べて洗浄後の金属表面の仕上がりが良く、腐食の危険性が少ない」とした記述=誤り(無機酸のほうが腐食の危険が少ないとは言えない) |
硫酸(カルシウムを多く含むスケールには適さない)、水酸化ナトリウム(中和剤・潤化処理)、アンモニア(銅を多く含むスケール)、塩酸(シリカ系以外)は、令和6年10月の問15で正しい側で出ました。
薬品名の直後に来る「〜酸の洗浄剤」「〜を多く含むスケール」を先に読んでください。
銅を多く含むスケールにアンモニアを使うのはなぜか。
アンモニアが銅と結びついて安定した形をつくり、溶かしたまま流し出せるためです。酸だけで洗うと、溶けた銅が再び金属として析出することがあります。
クエン酸は無機酸か有機酸か。
有機酸です。炭素を骨格に持つ酸で、塩酸や硫酸のような無機酸とは成り立ちが違います。一般に80〜100℃の温度で使用されます。
洗浄薬品を決める前に何をするか。
予備調査でスケールを採取し、化学分析と溶解試験を行います。成分によって効く薬品が変わるためです。
水酸化ナトリウムは何に使うか。
中和剤として用いられるほか、潤化処理にも用いられます。同じアルカリ側でも、銅向けの洗浄剤であるアンモニアとは役割が違います。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
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