ボイラー整備士免許試験 令和5年10月公表(令和5年1月〜6月実施分)の問21は、水管ボイラー及び貫流ボイラーに関する問題です。5つの記述のうち、適切でないものを選びます。
この問題の核心はドラムが無いことが高圧に有利か不利かです。答えは有利。貫流ボイラーはドラムを持たないからこそ高圧に向いています。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公開している公表試験問題のページで確認できます。
正解:選択肢4(適切でない記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ◯(適切) | 二胴形は上の気水ドラムと下の水ドラムの間に水管群、燃焼室に水冷壁 |
| 2 | ◯(適切) | 強制循環式は循環系路中のポンプで強制的に循環させる |
| 3 | ◯(適切) | 水冷壁は放射熱を吸収し、あわせて炉壁を保護する |
| 4 | ×(適切でない) | ドラムが無いので高圧に適している。適していないのではない |
| 5 | ◯(適切) | 燃焼室を自由な大きさに作れるので、燃料・燃焼方式への適応性が高い |
選択肢4は「貫流ボイラーは、管系だけで構成され、蒸気ドラム及び水ドラムがないので、高圧ボイラーに適していない」としています。前半は正しく、結論だけが逆です。
理由は、圧力に耐えるのに胴やドラムのような太い容器がいちばん不利だからです。
円筒にかかる力は、直径が大きいほど壁にかかる引張りが強くなります。同じ圧力でも、太いドラムは細い管よりずっと厚い板を要求されます。高圧にするほどドラムの板厚は増え、重くなり、造るのも難しくなります。
貫流ボイラーは細い管だけでできているので、この問題が起きません。管は直径が小さいぶん薄い肉厚で高い圧力に耐えられます。だから高圧・大容量のボイラーほど貫流形が選ばれます。
| ドラム | 高圧への向き | |
|---|---|---|
| 丸ボイラー | 太い胴 | 不向き |
| 水管ボイラー | あり(気水・水) | 向く |
| 貫流ボイラー | なし | いちばん向く |
選択肢3の水冷壁は、燃焼室の壁に水管を並べたものです。この記述には役目が2つ書かれています。
1つは火炎の放射熱を吸収すること。燃焼室は炎がいちばん熱い場所なので、ここで熱を受け取れば効率よく蒸発させられます。
もう1つは炉壁を保護すること。水管の中を水が流れていれば、その裏にある耐火材の温度が上がりすぎません。熱を奪う側が壁を守る側にもなっているということです。
選択肢5の「燃焼室を自由な大きさに作れる」も、水管ボイラーの構造から来ています。丸ボイラーは胴の中に炉筒を通すので燃焼室の寸法が胴に縛られますが、水管ボイラーは水管を並べて囲えばよいので、燃料に合わせた形にできます。
貫流ボイラーが高圧ボイラーに適しているのはなぜか。
蒸気ドラム・水ドラムを持たず、管系だけで構成されているためです。太い容器ほど同じ圧力でも壁にかかる力が大きくなり厚い板が要りますが、細い管なら薄い肉厚で高い圧力に耐えられます。
水冷壁の役目を2つ挙げよ。
火炎の放射熱を吸収することと、炉壁を保護することです。水管の中を水が流れることで熱を受け取り、同時にその裏の耐火材の温度上昇を抑えます。
出典
※ この記事の確認日:2026年9月