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【書評】いい家は無垢の木と漆喰で建てる、を読んで

「いい家は無垢の木と漆喰で建てる」。ハウスメーカーのキャッチフレーズのようだが・・・。何かを宣伝している本ではないので、その点は心配いらない。

さて、僕は公共施設を専門に設計担当しているから、住宅の建築事情は正直詳しくない。もちろん、住宅のほとんどは木造であること、くらいは知っている。

だが、木造住宅は構造設計者の関与が不要なので設計機会も恵まれない。ほとんどの建築物が住宅であるにも関わらず、「住宅のことを知らない設計者」なんてダメだなという思いで、手当たり次第、住宅関連本を読んでいる。

本書もその1つだ。

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無垢の木が最強・・・らしい。

本書を読めば、筆者の「無垢の木が最強」というメッセージが強烈に伝わる。初めから、終わりにまで隅々読んだが、「無垢の木」押しが凄まじい。

無垢の木以外は建築材料じゃない、と言いたげだ。

構造材としての木材と、鉄筋コンクリート、鉄骨を比較して「無垢の木が最強」と言い始めたら、トンデモ発言かと疑う必要があったのだが、それは無かった。筆者が主に言っているのは、「内装材」のことである。

 

木質材に気を付けよ

例えば、床のフローリング。試しに自宅の床を歩いてみて欲しい。冷たい感じがしないだろうか。

見た目は木の床なのに。

この理由が「無垢の木」でないからだ。木は本来温かいものである。その理由は、木の中には空気が沢山入っていて熱伝導率が低いから。

 

要は、木を触ったときに熱を吸収しない。だから、そのままの温度で温かみがある。

一方、住宅に多く使われるフローリング床は「無垢の木」ではない。木質材といって、0.2mmほどに木をスライスして芯材と接着剤で貼り合わせたもの。芯材には段ボール(強化された段ボール)を使うこともある、らしい。

接着剤は表面を密閉してしまう。人間でいえば、鼻と口を摘ままれた状態だ。だから合板などを用いた木質材は、空気が入り込む隙間がなく「冷たい」のだ。

 

空気が悪い原因は、接着剤だ。

先に述べたように、フローリング材は薄くスライスした木片と適当な芯材を接着剤で貼り合わせたもの。

また、家具や建具に使われる木も、見た目だけ。実際は木質材。多いのは「パーティクルボード」という材料だ。これは廃材となった木片を粉々に砕き接着剤で成形したもの。

共通しているのは「接着剤まみれ」ということ。そんな内装材、家具が置かれた家が健康に良いはずがない、というのが筆者の指摘。

 

現在はシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを含む接着剤は使用禁止である。だが、現在用いられている接着剤も人体に影響が無いとは言えない。それが明らかになるのは10年、20年後だから。

これでは人体実験だ、という。以上の理由を持って、筆者は「だから無垢の木が一番なのだ」と強く言っている。また接着剤は火災時に危険な煙を発生させる。これも危険だ。

 

壁は漆喰が一番

内壁にも危険な材料が使われている。その1つがビニルシートだ。これは石油系の材料で薄く安く、プリントが自由というメリットがある。ビニルシートは柔らかいプラスチックだと考えて欲しい。

つまり、木目そっくりのプリントを施して、木壁に見せることだってできる。

プラスチックは表面を密閉し水を通さない。つまり結露が起きたとき、壁に水滴が付く。そしてカビの原因となるのだ。

一方、漆喰は調湿効果があるし、少々の水滴は吸い込んでしまう。科学的な検証はともかく、筆者の施主は「漆喰を使った家は気持ちがいい」と言う。これが何よりの証拠のようだ。

 

いい家=無垢の木と漆喰、は正しそうだ

筆者が言う「いい家=無垢の木と漆喰」は、どうやら正しそうだ。僕は少し汚い手で、それを確認してみた。

本書の売り上げである。

本書は11刷も増刷になっていて続編も出ている。つまり多くの方に受け入れられているし、多くの方が「いい家=無垢の木と漆喰」だと認識している。

これは建築家や専門家がこねくり回した理論よりも、確かな証拠だと言える。

シックハウス症候群に悩む方、新築住宅に移ったら目がチカチカしたり謎の病気に悩まされたなど、案外接着剤が原因かもしれない。本書を読めば悩みが解消されるかもしれない。

 

また、本を読むのも良いが、実際に無垢の木と漆喰で建てられたモデルルームなどに行くとなお良し、だ。

論より実践で、五感で確認してもらいたい。

 

ただし、一般の方が本書を読もうと思うと少々辛い。文章は沢山あるし、「写真A」とか「写真B」などのイラストが、次の頁をめくらないと読めなかったりする。

建築的な想像力が無いと完全に読む解くことはできないだろう。

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