建築のこと

【書評】天下無双の建築学入門、を読んで

またまた藤森氏の本を手にとった。彼の本を手に取ると、必ずやってしまうクセがある。

それは本の裏表紙をみることだ。そこには、満面の笑みで藤森氏の顔写真が。お世辞にもイケメンとは言えない、なんだか漫画太郎が描いたイラストにみえてくる。

もう若くないのに。いつまでこの写真を使うのだろう(若い時の写真が掲載されている)。僕はそう思って、藤森氏の本を読むときは裏表紙をみる。

またあの写真だ。

藤森ワールドに引き込まれる

なんという大胆なタイトルだろう。「天下無双の」なんて。思い切りましたね、藤森先生。

だけど僕は面食らってしまいました。この内容はあなたの趣味嗜好をこらした「建築史学入門」じゃぁないですか。

それはそれで棚からぼた餅。ラッキーなのだが。いつになったら「建築学入門」になるのか、なんて思い読みすすめていたら読了していた。

 

藤森建築は「ネオ・ヴァナキュラー」なんて言われるが、その根源を本書で確認できるぞ。彼は幼少期から縄文時代の家をつくることが夢、だったそうな。子供の頃、石斧をつくって木を切り倒そうとしたエピソードなんて筋金入りだ。

大人になってもその夢は終わらなかった。それが彼の建築には表現されている。建築の主要素(柱、梁、屋根、床など)を過去に遡って探求する。そして本質を見出す。このアプローチが設計に活かされている。

例えば、木板。マンション住まいの方は床をみてほしい。ピカピカのフローリングだろう。ピカピカでツルツル。藤森氏はこれを嫌う。「建築業界は病んでいる」とも言う。

そこで彼は、木の丸太から石斧で板をつくれないか、と考えた。考えられない方法だが、昔はそうやっていたらしい。当初、この作業は苦戦したが(当たり前だ)、なんと丸太から板をつくる職人が1人だけ生き残っていたらしい。

その老職人に頼むと、丸太からあれよという間に板が生まれる。魔法のように。とっても良い表情の板ができたそうな。

 

ドアーの話が面白かった

あ、個人的に面白かった話はですね。ドアーの話。日本は引き戸が多くて、欧州へいくとドアーが多い。なぜか?

そんなこと、なぜかなんて思ったことがなかった。

答え。欧州はいつの時代も戦争だった。陸地続きだから外部からの的も多かっただろう。外からの侵入を防ぐためには弱っちい引き戸ではダメ。だからドアーになった。

日本でもお城の門はドアー形式でしょう? そういうことだ。引き戸では蹴破られてしまう。

もう1つ面白いことが。それは日本のドアは外開きがほとんど、らしい。試しに自宅のマンションを開けてみる。おぉ、ほんと外開き。逆に欧州では、ほとんどが内開きだが、この理由も安全性がからんでいる。

つまり内開きだと侵入される心配が少ない。外部から入ろうと思っても、内側からつっかえ棒か椅子を置けば、重しになる。外開きでは全く意味がない。

そんな理由があるそうだ。

 

天下無双の建築学入門、と書いてあるので建築学が一冊で勉強できる本だと勘違いした。

結果違ったのだけれども、棚からぼた餅。藤森氏独特のユーモア交えた建築史学を勉強できました。

建築オタクの皆さん、どうですか。

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