本の紹介

【書評】私があなたを殺した、を読んで

東野圭吾の本格ミステリの1つ。「私があなたを殺した」を読みました。本格ミステリと言うだけあって、難解かつ最後まで犯人は明かされず物語は終わります。

 

主要人物は、両親を交通事故で無くし生き別れた兄妹、妹はエッセイストという裏の顔を持っていて、その編集者、傲慢な小説家(後に説明する穂高)やそのマネージャーなどキャラもしっかり立っていて面白かったです。

本書では、最大の謎が「誰が穂高を殺したか?」というもので、主要な登場人物ほぼ全員に殺害動機があります。

 

殺された穂高はやり手の小説家。女性を引き付けるものがあり、小説の実力もある。相当な浮名を流した人物設定です。人物相関を書くつもりはないのですが、例えば、再婚相手の美和子の兄。

彼は、妹である美和子が好きなのです。それが穂高に取られるのが、たまらなく嫌でした。穂高のマネージャーも、表では穂高に従っていますが心の中では殺したいくらい憎んでいます。

とまぁ、ドロドロの関係で読むと少し疲れます。

 

ミステリとして一番楽しい所は、穂高をどうやって毒殺したか?というところ。穂高が毒殺される前、穂高の家で、ある女が自殺を図りました。その女は、穂高と結婚の約束までして、子供を堕胎までさせられた相手。彼女は、一方的な婚約破棄に心身喪失してしまいます。

その結果、毒入りカプセルを飲んで自殺したのでした。この毒入りカプセルが物語の最後まで活躍します。というのは、このカプセルが穂高を殺したに違いないのですが、問題は「誰が毒入りカプセルを穂高が飲むように仕掛けたか?」という点。

 

話の流れは、各個人の主観で進みます。これが、物語を一層ややこしくしています。各々の思いが挿入され客観的な事実が巧妙に隠されているのです。

それを少しずつ明らかにして、読む者にヒントを与えてくれるのが加賀という所轄の刑事。最後は、加賀の「犯人はあなただ」という描写で終わります。犯人が誰かわかった?という作者の挑戦で終わります。

 

また、タイトルの「私があなたを殺した」が余計に想像をかきたてます。それは「私」の部分。本書は各人物の主観目線で話が進みます。だから、必ず一人称なのです。「私は~だった。」とか「俺は~だ」、「僕は~」というように、各自、主語が異なります。

この辺も作者が狙ったミスリードの1つかなと思います。読むのに想像力が必要な作品ですが、読むうちに世界観に引き込まれること請け合いです。

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