本の紹介

【書評】生き延びるための地震学入門を読んで。

建物の構造設計やってます、と言うと地震に物凄く詳しいと思われます。いや、僕は地震学は専門外なんです、と言うと「アンタ何やってんだ」みたいな目が辛い。

建築やっている人にとって地震学の知識なんて素人に毛が生えた程度だと思うんですね。

もちろん、「地震力によって建物がどう影響するか?」という観点なら、いくらでもお話できるんですが。

 

自分自身、そんなジレンマを感じておりまして、この本を読んでみました。タイトルは「生き延びるための地震学入門」。いい感じです。でも最初に文句つけます。

この本、「生き延びるための」はいらなかった。だって、この本を読んでも地震から生き延びる術を学ぶことができないから。

表紙のイラストに騙されて、わかりやす~い防災ハウツー本だと思うべからず。生粋の「地震学本」ですから。

僕は地震から生き延びるためには、地震学を勉強するより「防災」、「建物の安全性」の知識を学ぶ方が重要だと思います。

例えば、1つ防災情報を説明します。マンション住まいの方、地震が来たらドアが変形して逃げられない被害が多かったそう。

 

だから、地震が来たら、玄関のドアは半開きにしておく。そうすると、地震が納まった後、脱出口が確保できます。

本書に書かれている、プレートは1年間で爪の長さと同じくらい移動する、という情報は小ネタにはなるけど、実践では役にたちませんね。

本書は、トメ(本書のイラストレーター、建築学科卒業)がアネに質問する形で、地震学の基礎をレクチャーしている。それは分かりやすい。イラストも良いですね。

 

でも、イラストが分かりやすいから、文章のページになるとゲンナリする。

唯一「へぇ~」と思ったのは、津波の速度が遅くても、別の道から合流した角南によって3倍も速度が速くなるとか、なんとか。

本書は入門編と言いつつ、地震学に興味のない方にはお勧めしない。また防災ハウツーを期待しているなら読まない方が吉。

建築業界の人で、最低限の知識を得たい人におすすめかもしれません。

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