建設業界のこと

全ての建物で実物大実験ができないだろうか?

土木・建築業界が他の産業と違って特殊な点の1つが、リハーサルができないこと。また、試験製品が完全にはつくれないことです。

小さい建物でも1つ建てるために、数億円の工事費が必要です。ですから「練習」がないのです。もちろん、熟慮を重ねた設計図や計算書はあるのですが、現場で変更することもありますし、竣工するまでが生き物です。

この特殊性が技術者の神経を尖らせ、悩ませる要因の1つ。

「実物大の実験ができればどんなに良いか。」僕はそう思うわけです。

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精密化する構造計算

さて、構造設計業界や設計業界をみますと、BIMが声高に叫ばれて久しいですね。政府も積極的に活用しようとしていますし。また、過去の構造計算から現在まで振り返ると(昔のことは詳しく知らないのですが・・・)、モデル化も厳格化されています。

ざっくりと、経験値から決めていたことが、きちんとモデル化するようになった。柱脚のバネも考慮して計算するのが当たり前。剛域も腰壁や垂れ壁まで評価する。

この流れを考えると、将来はさらに精密なモデル化が求められることでしょう。例えば、「小梁のピン接合もバネを考慮せよ」とかね。

 

全ての建物で実験はできるのか?

全ての建物に実物大実験が適用できるのなら、それは構造設計者として強力な武器になります。これまで適合性判定でされた様々な指摘も全て、

「実験より安全性を確認しております。」

の一言で済むからです。しかし冒頭に述べたとおり、建物の実験を行うことは経済的に不合理すぎて到底無理。何とか良い方法はないものでしょうか?

 

方法1 現実と同じくらい精密な解析ができるようになる。

これは今の計算をさらに精密にする方法です。今の構造計算の流れをみるに、どうもこの流れに進んでいる気もするのですが。

いまはFEMもありますしPCの能力が上がれば無理なことではありません。その代わり、僕らの入力作業が大変になりそうですね。

しかし、この精密な解析が実験と同じと認められれば、やる価値はあります。

 

 方法2.同じ比率で小さくした建物で実験を行う。

建物に相似則が適用できるのなら、同じ比率分、建物を小さくした実験も有効だと思います。それでも費用は発生するのですが・・・。

また、建物に相似則が適用できるのか?という問題点もあります。スパンの関係はどうか、応力は単純に比率分だけ小さくなるのか?考える必要があるでしょう。

 

 方法3.部分的な実験を行う。

これは特殊な建築物で行われている方法です。例えば、初めて使う材料であったり、初めての工法では、解析や理論だけだと不安です。そのため、実験を行って解析とどのような差があるのか?

どんな壊れ方なのか?確認します。

 

 まとめ

車は製造してエンジンを確認したり、実際に車を走らせて燃費を確認します。さらに発売してからも、お客様に試乗してもらうなど、様々な場面で「練習」ができるのです。

一方、建物は一度受注したら、実際にお客様が使うまで練習の場面は一切ありません。これが建設業の特殊性の1つです。

大規模な経済活動だからこそ、本当は難解も「練習」をしたい。それに変わる方法が次のブレイクスルーになるのかもしれませんね。

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