建設業界のこと

副本、控えは必要ない。原本の「同期」とVR技術による申請業務の簡略化提案

新入社員に任せる仕事は少ない。それでも、申請図書の印刷くらいはできるだろう、と頼むことがあります。

「新人君、この計算書と図面を2部印刷して。これが原本で正本ね。残り2部はコピーで副本と控えだから」

「わかりました!(あ、正本?副本?ってなんだ?)」

のように、新人君は正本と副本の意味が分かっていないかも。

ざっくりいえば、正本は原本。オリジナルの図書ということ。世界でたった1つの書類です。一方、副本は原本のコピー。

「控え」は、副本と同じなのですが、「副本」が最終的に施主へ渡される成果物に対して、控えは計算書と図面を製作した会社で保管する書類なのです。

新人は頭を悩ませます。

「理由は理解したけど、同じ図書を3つも5つも印刷するのは無駄じゃないか?」と。

新人君の疑問はもっともです。そもそも、正本と副本、控えは本当に必要なのでしょうか?

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必要なのは正本のみ。副本や控えは情報技術で解決する。

そもそも計算書や図面は1物件に対して1つしかありません。副本や控えはしょせんコピーであって、それ自体をつくる理由も「施主に渡すから」、「自社の控えのため」のように、申請業務の中で必要性は低いと思います。

それでも、原本1つだけだと不安ですし、例えば役所は今後のために副本を保管しておきたいでしょう。

要するに、副本と控えが必要な大きな目的は「控えのため」なのです。副本も施主用の控えであって、自社用の控えと用途はさして変わりません。

いま確認申請図書は「紙」での提出が原則なので、1物件に対して最低でも3つは図面と計算書を印刷します。基本的に正本をコピーして副本、控えを作成しますが、計算書が膨大になるとコピーミスもあって、全く同じ書類にならない可能性もはらんでいます。

副本は正本のコピーですから全く同じ計算書でないといけません。しかし、3つの書類をセットする過程で、どうしてもミスすることはあります。

これが、副本と控えが必要ないと考える理由です。

「でも自社で計算書や図面を保管しないと、質疑があったとき答えられないし、竣工後にも必要になるでしょ。」

その通りです。しかし、わざわざ印刷して残す必要はありません。いちいち役所や民間会社へ出向いて、差し替え業務なんて馬鹿らしい。

ではどうするのか?

僕が考える解決方法は、「同期」です。

 

iphoneとPCの同期のように、原本を「同期」して複製できないか?

iPhoneをお持ちの方は知っていると思いますが、パソコンにつないで「同期」すると、自動でitunesの曲や写真を転送することができます。設定すれば、パソコンにつなげば自動で同期することも可能です。

申請図書も、わざわざ副本なんかつくらずに原本を「同期」して複製をつくればいいのではないでしょうか?この複製物が副本に変わりないのですが、重要なのは差し替える必要がない点です。

なぜなら、この副本は原本を同期したものだから。

この技術を行う方法は、まず計算書をデータ化すること。「パソコンの画面でみると間違いが起きやすい!」という老害の方々にも丁寧に、VR技術を使って「あたかも計算書が手元にあるように見せる」と良いかもしれません。

提出も電子データやVR技術を使った計算書の可視化を行います。VR技術で紙のように計算書を確認できますし、副本は原本の「同期」によって自動で上書きされます。ですから、差し替える必要はありません。

せいぜい、複製データと原本データを同期させるようにコードでつないでボタンを押すくらいでしょうか。

原本を同期して複製するので、差し替えミスもありません。余分な手間が一気に減ります。

よくよく考えれば、紙で提出して正本、副本、控えを作成するなんて50年以上前のルールですか?「時代は変わっている」なんて陳腐なこと言いたくないのですが、現実そうです。

申請業務の簡略化として、副本の廃止を強く望みます。

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