労働のこと

超高齢化社会と未来の住居スタイルについて

【※3000字くらいの文量あります。読了に10分くらいかかります。】

少子高齢化より、2055年には人口約9000万人まで減少します。このころ、高齢者(65歳以上)は40%を超えるという、想像もつかない世界になります。

人口減少と高齢化は日本の重大な社会問題です。加えて、年金問題、医療費の増加など問題は山積み。

さて、超高齢化社会では住居スタイルはどのように変わるでしょうか?これまでは、新築の戸建て住宅を買い、子供世代が巣立った後、長兄が後を継いで二世帯で暮らす・・・こんなスタイルでした。1983年頃の話です。

 

それから10年後の1990年には、当時主流だった二世帯スタイルが半減し、2003年はさらに半減。データはここまでしかありませんが、今はもっと減っているでしょう。

つまり世帯は細かい纏まりになりました。これを「核家族化」と呼びます。この核家族化は今に始まったことではないのですが、将来的な超高齢化社会に対して、未だに続く新築持家スタイルはあまりに不合理です。

 

今回は、「超高齢化社会と未来の住居スタイルについて」考えていきます。

超高齢化社会の基本知識は、この本当たりが丁度良いかと。

超高齢社会の基礎知識 (講談社現代新書)

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2055年は高齢者40%の超高齢化社会

まず事実関係を押さえておきます。

先ほど述べたように人口減少は2007年の1億2700万人を境に減少しています。

人口減少が恐ろしい点は、最初は徐々に減少するのですが、20年後、さらに20年後になると子供をつくれる若者が減るので、減少スピードがどんどん早くなることです。

 

厚生労働省のデータでは、2055年(つまり約40年後)には8900万人まで人口は落ちます。図をみれば、人口減少スピードが早くなっていることに気づくでしょう。

2055年の高齢者は40%!

今の年金システムは若者が高齢者を支えるシステムです。が、これは若者の人口が圧倒的に多い、という仮定のもと。

2055年では、15~64歳が4595万人、高齢者が2387+1260=3647万人。つまり、4595/3647=1.3人で1人の高齢者を支えることになるのです。

 

既に破綻が見えているシステムだと、分かって頂けるかと思います。そのため政府は、年金受給の年齢を引き上げることを決めました。

人口減少が止まらないなら、「受給年齢を引き上げてしまえ」と。65歳の次は70歳、次は75歳。次は80歳から年金受給!・・・そんなことを政府は言いそうですが、僕の考え過ぎでしょうか?

 

さて、話を戻しましょう。高齢者が全体の4割になれば住居スタイルも見直しが必要ではないでしょうか。

まず、高齢者の住まいに関する意向を抜粋します(国土交通省)。これを見て分かるように、昔主流だった同居、つまり二世帯住宅という住居スタイルは2003年時点で14.9%。

 

よって残りの85.1%が、親の近くに住むか、全く違う土地に住むという意向を示しているのです。今では、二世帯住宅を希望する方はもっと減っているでしょう。

次に、高齢者が住宅で困っていることを抜粋しました(国土交通省)。これによると高齢者は、住宅の広さや間取りに対する満足度が大きいことが分かります。

考えて見れば、子供が巣立ち部屋が余るわけで、当然の結果でしょう。逆に、広い戸建て住宅は、階段や段差に困ったり、広すぎて管理が大変、といった問題が発生しています。

つまり、高齢者は「夫婦だけで暮らすのだから狭くて構わない。高齢者に優しい(段差や階段の無い等)住居が良い」と考えています。

 

緩い繋がり、いまの住居スタイルにも合致するマンションの良さ

少し視点を変え、マンションにの戸数をみていきます。すると毎年、新築マンションは増えていました。人口が減少している今でも年間200万戸数が供給されているのです。

国土交通省の調査によれば、1戸数当たりの平均居住人数は2.46人だそうです。つまり、毎年500万人分の部屋が供給されています。

 

毎年マンションストック戸数は増え続け(減るものもありますが)、現在では620万戸数のストックがありますから、620万×2.46=1525万人分の部屋が供給されています。

現在の人口1億2000万人に対しては、10%。まだまだ戸建て住居が多いことを意味します。

不動産業者の立場で考えれば、まだまだマンション市場は成熟していない訳で(残り90%まで)、毎年200万戸数を供給しても需要がある、と考えるかもしれません。

 

但し、マンションの5戸に1戸(20%)は空き家というデータもあるので、供給過多という見方もできます(マンションの空き家率を示す公的なデータを見つけられませんでした。不確定なデータに注意)。

 

さて、マンションは戸建て住宅とは異なり、「区分所有」という取り決めがあります。要は、マンションという箱全体を皆で分割しているのです。

各部屋はRC壁で仕切られていますが、隣には他人が住んでいます。当然、各部屋は各人のものですが、共用廊下や共用スペースは誰の物でもありません。

ですから、朝出勤するとき、廊下を歩いていると、お隣さんに会って挨拶する・・・そんな状況は体験済みでしょう。

 

お隣さんは赤の他人ですが、「同じマンションに住んでいるお隣さん・・・」ですから、どこか緩い繋がりがあるのです。

その緩い繋がりが発揮される時が、例えば災害時。「このマンション危ないですよ!」と言ってくれるかもしれませんし、同じ建物にいるので慌ただしい空気を察知できるかもしれません。これは、土地や住戸が独立している戸建て住宅には無いメリットです。

 

また、先に述べた住居スタイルでも「同居」より隣居や近居のニーズが高いことを示しました。一緒に住むのは嫌だけど親の面倒は見たい、という若者の考えであったり、息子(娘)の世話になりたくはない、という親の意見です。

これらを実現できるのもマンション住まいの良い点です。

そろそろ結論です。気づいた方が多いと思いますが、戸建て住宅の改修よりも、マンションストックの改修が、日本の未来ではないか?と思うのです。

 

高齢者のニーズとマンションの親和性

高齢者の住居に対するニーズを再確認します。それは「夫婦だけで暮らすのだから狭くて構わない。高齢者に優しい(段差や階段の無い等)住居が良い」というもの。

子育て世代には嬉しい広々とした戸建て住居も、高齢者には負担になるだけです。残りの余生を考えれば、あえてリフォームするメリットも少ない。

 

一方マンションは、子育て世代には手狭に感じますが、高齢者には十分な広さ。現状のマンションストックは、高齢者に対応したEVの有無、バリアフリー対応が少ないのが、課題です。

但し、賃貸マンションであれば、リフォーム費用は大家持ち。入居者は賃貸料金が多少上がりますが、家賃として分割的に支払えるメリットがあります。持家なら数百万を払ってリフォームですよね?

 

また、マンションには「ゆるい繋がり」があります。老夫婦2人だけでは心ともなくても、1つの建物に数十世帯が住むマンションなら、どこか安心感があります。

特に災害時、土地や建物も独立した戸建て住宅よりも、助けてもらえる可能性が高いです。また、子世代との繋がりも「同居」というガッツリ繋がるスタイルよりも、「隣居」や「近居」のように緩くつながりをもてるスタイルが受け入れられています。

以上の点から、高齢者対応した賃貸リフォームマンションが今後は必要とされるでしょう。僕らが高齢者になる頃、戸建て住宅は減っていてマンションは増えているかもしれません。

 

現在、マンションは毎年200万戸数増えていますが、人口に対する戸数から考えれば10%程度の普及率。よって、まだ成熟しきっていません。

要するに、まだまだ増える余地はある、ということです。高齢者の住居ニーズ、世代間の住居スタイル。これらを加味すると、戸建て住宅(持家)スタイルは淘汰されていくかもしれません。

 

例えば介護が必要になったとき、マンションや戸建て住宅を買っていたのなら、また纏まったお金を払う必要があるのか・・・と思うでしょう。

その点でも、賃貸マンションは解約するだけですから便利です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。人口の40%が高齢者となる「超高齢化社会」。世界のどの国も体験したことのない状況ですよね。そのまま日本が無くなっちゃうのでは無いか?そう思うほどの減少です。

今回、超高齢化社会における住居スタイルについて提案しましたが、根本的解決にはなりません。根っこの少子高齢化をどうするか?

 

子育てを安心して行える環境づくりを国に期待したいですね。

それでは。

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