設計事務所の実態

最終更新日: 2019.10.28

『お金が無いから勉強できない・・・』。それは日本にとって大変な機会損失である。

『お金が無いから勉強できない』。これは、日本にとって大変な機会損失です。いうまでもなく、とても才能ある若者がそれを活かせない仕事に就く可能性が増えるのですから。

我が国の憲法では、

すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する

と書いてあります。しかし、現実には両親の収入によって大学へ行くことを諦めたり、大学へ行っても中退せざるを得ない状況になるなど、様々な障壁があります。

そんな金銭的問題を解消する制度の1つが「奨学金制度」です。

 

僕は、高校生から大学院まで日本学生支援機構から奨学金を借りていました。

僕の家は兄弟が多く、親の稼ぎが少なかったので貧乏でした。父親の年収は350万くらいで、兄弟は4人います。それでも大学院まで行けたのは、両親が借金したり、もちろん自分も高校生から大学院まで奨学金を借りて何とかやってきたからです。

学生時代は全期間、寮生活で生活費も削減。また、授業料免除や入学料半額免除とか、優遇措置を使って凌いできました。

無事に学生生活を終えることができたのは、奨学金があったお陰です。しかし、本音を言えば「奨学金を借りずに大学へ行けたらもっとよかったなぁ」と。

いま、ぼくは奨学金を月4万(3万とうん千円)返していて、何とか生活が成り立っている状況です。社会人5年目の終盤ですから200万円くらいは返還したでしょうか。

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「奨学金を借りた者」、「借りていない者」の差

もし奨学金を借りていなければ、そっくり貯金ができたわけで、その貯金は未来に生まれてくる子供への養育費とできたかもしれません。

つまり、「奨学金を借りた者」、「借りていない者」で経済的なスタートが違うのではないか? と思うのです。裕福な家庭に生まれるか否か? それは子供が選ぶことはできません。しかし、教育を望む者には等しく、公平なスタートラインからその機会を与えるべきです。

そのためには、公的な資金をもっと投入すべきではないでしょうか。ようやく議論にあがっている奨学金給付制度も、その『公的な資金』の1つです。

議論の出発点は違いますが、昨今、奨学金を払えない学生が増えている⇒だから給付型奨学金だ、という報道を目にします。テレビの報道では、煽ったような表現や、数字のデータがありますが、これについては、日本学生支援機構さんが正しいデータを公開したとHPにアップした、とのことです。奨学金事業への理解を深めていただくためにより。

議論をフェアに整理するために、以下の事実は押さえておきましょう。まず、報道で煽っているような未返還の方ですが、これは全体の2.6%。97.4%の方は普通に返還している。また、学生支援機構の金利は、H28年から固定金利でも0.16%と低水準であること。この事実は、押さえておきたいですね。

但し、潜在的に未返還になる方を加えるともっと多いと思いますが。

 

現在の奨学金制度は充分でない。

さて、政府が整理している給付型奨学金ですが、『勉強したい若者が経済的に困窮し進学できない問題』の解決に向けて創設を進めています。経済的に貧しい家庭の子供が、大学への進学率が低いことは何となくご存知かと思います。下図をご覧下さい。

これは政府資料の抜粋ですが、両親の年収が400万円以下で四大進学率が30%程度。奨学金制度が、『その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。』ことを支えているとは思えません。

既存の奨学金制度は、十分ではないのです。

 

海外と日本の教育費の負担割合

視点を変えて海外と日本の教育費の負担割合について考えましょう。東京大学の資料によると(各国における奨学金と高等教育 の費用負担のあり方)、ベルギーやニュージーランドが公的資金の投入が半分以上あることに対し、日本は、ほとんどが家計からの支出です(左から4番目が日本、一番右がベルギー、赤が家計で青が公的資金)。

ヨーロッパ諸国の手厚い公的資金には驚きます。

また、日本と海外では教育費を誰が負担するのか? この考えに違いがあります。下はそれを表したイメージ図です。日本や韓国、中国は教育費を「親が払う」という考え、ヨーロッパ諸国は公的負担が基本、アメリカは本人負担の考え。

日本のように、「親」が教育費を負担し、しかも教育費の出どころが「家計」であるならば、当然、年収の低い家庭は大学進学率が低く、教育機会が失われるのは必至です。

 

高等教育に望むこと。

教育費への公的資金注入。給付型奨学金3万円はもちろんですが、授業料免除枠の拡充、景気が良くなっている企業には内部留保させるのでなく、民間の給付型奨学金制度も実施してほしいですね。

また、個人的にはオープンエデュケーション(インターネットで大学の無料講義や講義資料を見ることができる仕組み)にも期待しています。世界で一番進めているのはMITですが、日本でも国家プロジェクトとして進める必要があるのでは? と思います。

以上、長々と雑感を書きました。機会があれば、もう少し話題を深堀していきます。

それでは。

 

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