労働のこと

i-Constructionで職人さんの仕事はホワイトカラーになるか。

いま、国土交通省が流行らそうとしている技術があります。それが『i-Construction』です。日経アーキテクチュアに説明文があったので、抜粋します。

国土交通省は、3Dマシンコントロールなどを使った情報化施工や、構造物の3次元モデルを使って設計・施工を行うCIM、ドローン(無人機)やロボットを使った構造物の点検・補修など、様々なICT(情報通信技術)関連の設計・施工・維持管理技術の導入や開発を進めてきた。

これらの技術を統合した「i-Construction」を2016年度から推進することで、「全体として技能労働者一人当たりの生産性について、将来的に5割向上の可能性がある」と石井国交相は語った。

 

要は、建設現場の生産性向上のために情報通信技術を活用していこう、という取り組みです。報道によると技能労働者1人当たりの生産性が5割向上の可能性がある、と言っていて、相当推進したい技術のようです。

確かに、建設業界は著しくICT技術の導入が遅いこと、そもそもITに疎い人間しかいないことは、このブログでも指摘していました↓。そもそも、FAXなんて時代遅れの機械を採用している時点で・・・。

設計業務に『生産性』っていう言葉あるのかな(笑)

 

また、年配の方はITリテラシーが著しく低く学ぶ気もないので生産性が落ちている、という記事も書きました。

中堅設計事務所にいる老害とITリテラシーの話

 

これらの問題を解決する技術がBIMのハズなんですが、平成26年から話題にもならず国交省の動きも鈍っているように見えます。

で、去年くらいから突然i-Constructionの話題がでたのです。i-Constructionは設計現場の生産性向上ではなく、建設現場の生産性向上に着目しています。10年後、技能者が極端に減るので、国が危機感を感じているかもしれません。

では、このi-Constructionは建設現場を救う希望になりえるか?

考えていきます。

スポンサーリンク

 

i-Constructionが目指すもの

目指すものは、簡単に言えば『生産性の向上』です。大臣の発言によれば、現状の1.5倍の生産性ですから、とても期待されています。国土交通省の書き方をそのまま引用すれば、

  • 1人1人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善
  • 建設現場に携わる人の賃金の水準の向上を図るなど、魅力ある建設現場へ
  • 建設現場での死亡事故ゼロ
  • 『きつい、危険、きたない』から『給与、休暇、希望』を目指して

ですね。

驚いたのは『給与、休暇、希望』を目指して。いや、それって当たり前のことじゃ。建設現場って給与も休暇も希望もない仕事なんですか・・・。この4項目を眺めていたら、最悪の仕事に思えてきましたよ。

で、以上を解決するために具体的に何をするのか? これが重要です。よほど革新的なことでないと、生産性1.5倍は達成できませんから。つまり100人いた現場が67人で済むってことですから。

相当革新的でないと。

 

i-Constructionが可能にする技術とは

土木、建築の始まりは地形測量です。建築の測量は土木ほど大規模ではないのですが、土木はとても広範囲な敷地且つ地形も複雑なので、測量も一苦労です。

ICT技術を活用して、まずはそれを効率化します。それが、

ドローンによる3次元測量。

2

ドローンは悪用されることが多いの良いイメージありませんが、リモート操作で写真測量できるのなら、危険地帯に行くこともありません。

 

2つ目が、3次元測量データによる設計・施工計画。

3

これは建築業界でもBIMが進められているように、土木でも三次元CADを利用した設計の簡略化が進められています。

建築の複雑さを考えれば、土木の方が相性良いと思います。地盤の位置情報をプロットすればいい気がするので。

 

3つ目。ICT建設機械による施工。

4

これが一番革新的だと思いましたね。建設業界のブレイクスルーになるのかも。ただ、少し不安もある。

これまで建設現場は必ず人が居ました。他産業が機械化、AI化している一方で、何時まで経っても人間が作業するなんて珍しい業界です。

しかし、ICT技術を使えば、建設機械をリモート操作することが可能になります。すると、これまで技能者と呼ばれた人材が全く別の人達になる。

と、いうのも建設現場の仕事は、ある種、学業に力を入れてこなかった人たち(不良、昔で言うヤンキー)の受け皿になっていました。建設現場の兄ちゃんって、皆エグザイルみたいな顔付きでオラオラしてるでしょ(差別ではなく客観性を持った意見です)。

彼らは勉強が出来ませんが、体力と力がある。だから、体力と力が必要な建設現場にマッチしたんです。

それが一変して、個室で建設機械をリモート操作する仕事になったとしたら、技能職ではなくて事務職か専門職ですよ。パソコンを高度に操る技術が求められるし、頭も使うでしょう。

つまり、建設作業が力も体力も必要ない、という全く別の仕事になります。もし建設現場の仕事が、力も体力も必要ない、頭やパソコンを上手に使う業務に成ったら、どうですか?

あなたが人事だとして、A『力と体力がある不良』、B『頭が良くパソコンが使える真面目君』のどっちを採用します? 僕だったらBを採用しますよ。

 

i-Constructionは建設現場の生産性を向上させる一方で、これまで現場を支えてきた人材が一変します。新卒採用であれば問題ないですが、果たして、これまで手作業で現場に携わってきた人が、本当についていけるのか?

まだまだ考える余地がありそうですね。

今後も注目していきます。

 

スポンサーリンク
 

こちらも人気の記事です

ピックアップ記事

  1. ブログを書く時の、ネタ集めの方法とは?
  2. 【一級建築士】総合資格のテキストを使った感想3つ
  3. 建築を勉強したいなら、何県にある大学がおすすめ?
  4. 【書評】本田正信VS石田三成
  5. 家は影の下なのになぜ熱いのか?

関連記事

  1. 労働のこと

    【時はきた!】今年度末で退職する旨を上司に伝えた結果

    ついに今年度の退職に向かって動き始めました。tyazukeです。長かっ…

  2. 労働のこと

    超高齢化社会と未来の住居スタイルについて

    【※3000字くらいの文量あります。読了に10分くらいかかります。】…

  3. 労働のこと

    設計を辞める人におすすめする、前職を活かす転職先5つ

    ども、tyazukeです。もう設計やめよう。そんな結論を出した…

  4. 労働のこと

    今日の更新は夕方。テーマは『奨学金と教育問題について』です。

    昨日は久しぶりに、パソコンを使わず息抜きに出ていました。随分と頭がスッ…

  5. 建設業界のこと

    建築設計・工事の手間は他業界の比じゃない。

    設計の仕事はトライ&エラーの連続と言います。が、建築設計は車業界や機械…

  6. 建設業界のこと

    『団塊の世代』の設計者に建設業界や今の若手について聞いてみた。

    『団塊の世代』とは、高度経済成長以降の1968年ごろ、第1次ベビーブー…

スポンサーリンク

最近の記事

Tazukeのおすすめ書籍

  1. 構造設計に関すること

    構造目線で考えよう。3本の矢を折るために必要な力とは。
  2. 建築のこと

    基礎から学ぶ、隣の音が聞こえないマンションの特徴と遮音等級について
  3. 労働のこと

    一級建築士の年収とは?本当に分かる30歳の年収、独立後の年収
  4. 一級建築の試験勉強

    一級建築士の試験に使えるスマホ用アプリ5選
  5. 一級建築の試験勉強

    本当に知りたかった!一級建築士と二級建築士は何が違う?
PAGE TOP