建築業界の分析

最終更新日: 2019.10.28

TPPに参加すると建設業界が危ない

今日、トランプ氏が『TPP離脱を表明した』という報道をみました。この前トランプ氏と非公式の会談を行って、安倍首相ウッキウキで帰ってきたのに、今どんな顔しているんでしょ・・・。

TPPと言えば一時期ものすごく話題になって、最近はTPP参加に前向きな評論家の意見も出つつ、国全体がふんわりと、ゆるりと参加する感じになっていました。豊洲の件やら何やらで、マスコミも取り上げなかったし。

そういえば建設業界はTPPとか、経済的なトピックに対して全くの無反応で、TPPに参加した場合、日本の建設市場はどうなる? と言う議論がありません。

唯一、京大の藤井聡さんがご自身の研究室の頁に意見を書かれていたので、一部抜粋します。

しかし、米国は、日本の建設市場を決してあきらめてなどいない。そもそも日本の建設市場は、これだけの不況の中においてすら、米国を除く世界中の国々の中で、最大の市場規模を誇るものである。だから米国は、これまで日本の建設市場への参入を画策し続けてきているのである。

そもそも日本の商習慣であった建設談合が法的に取り締まられるようになったのは、日本政府の自主的な判断によるものではない。米国からの「要求」でそうなったのである。そして、米国がそういう要求をし続けてきたのは、米国の建設関連企業が、日本に参入するために、日本特有の談合をはじめとする様々な商習慣が「邪魔」であったからなのだ。

そもそも独占禁止法が強化され、公正取引委員会の権限が大幅に強化されてしまったのは、米国の様々な企業の日本市場への参入を促したい米国政府の強力な圧力に、日本政府が屈してしまったからなのである。

と書いてあります。

抜粋していませんが、藤井先生は『TPPが決まれば建設業界は危うい』ということを説いておられます。一方で、業界の『TPP? 何それ、建設業界には関係ないっしょ』という考えも危ないのだとか。

日本の建設市場への投資は毎年50兆円という巨大市場です。しかも毎年安定的に。そりゃ、アメリカからすれば美味しそうに見えるかもしれません。

 

藤井さんが仰るように、僕も心のどこかで『アメリカが入って日本の建設市場に入ってこようと思ってもムリムリ』と思っています。

僕は経済のことは門外漢なので、TPPによって変化する建設市場のルール云々の話は置いときますが。建設業は、結局『人』が重要になるお仕事。橋やらトンネル、建築物も工事を行っているのは人間です。

アメリカの巨大建設会社が参入したところで、果たして上手く仕事が回るんかいな、と懐疑的です。

構造設計に関して言えば、1次設計と2次設計を行う2段階の設計方法は日本独自のルールだし、アメリカの技術者じゃあ対応できんでしょ。

ちなみに藤井さんも建設業界が特殊なのは認めていて、

そもそも、各国の建設産業は、最も特殊な産業であり、それぞれの国に様々なルールがあるのが当たり前であり、だからこそ、簡単に進出することは容易ではないのである。

しかし、米国の狙いは、

日本市場を、完全に米国市場と同じものに改変し、それを通して、豊かな経済大国日本で米国企業が簡単に商売ができるようにする

と書いてあります。

 

一方でアメリカの巨大建設企業は、日本の大手よりも遥かに巨大な企業規模ですから、お金や物量にものを言わせて、戸にもかくにも日本の建設市場で仕事を奪う可能性はあります(ごめん、詳しいことは分からない。次までには調べておく)。

で、仮にアメリカが参入したなら、まず大手ゼネコンが行っていたデカイ仕事が奪われ、そのため、これまで中堅企業が行っていた仕事を日本の大手ゼネコンが奪い中堅ゼネコンが中小企業の仕事を奪う、という負の連鎖が起きるのです。

さて、日本の建設業はゼネコンがとても優秀です。とても細やかな工事を行っているのは、つい先日、福岡で地盤が崩壊したときの職員の対応をみれば明らか。あれだけの崩壊が起きていながら、人命は守られた。しかも復旧は1週間。すごいですよね。

 

藤井先生の言葉を借りますが、

洪水や土砂崩れ、地震や津波、豪雪などが頻繁に起こる我が国日本の国土の上で日本人が安心して暮らしていけるのも、それぞれの地域に中小零細の建設企業が残されてきたからである。

というのは、まさにその通りです。

TPPに参加すれば、アメリカは日本の建設市場ルールを変え、企業規模の小さい順に仕事がなくなっていく。そして日本の国土を担う中小企業が滅して、安心して暮らせなくなる。

このストーリーは有り得るな、と思いました。

幸運にもトランプ氏はTPPに反対ですから、このまま良い方向へ成りゆくのを望みます。

 

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