建設業界に関するニュースのこと

【解説】日建設計が説明した豊洲市場の安全性について

豊洲市場に関して、日建設計さんが建物の耐震性について言及したようです。『盛り土、ピット論争』で日陰の話題でしたが、実は計算書の中身もチェックされていて、荷重が足りないとか、モデル化がおかしいとか指摘されていたのです。

で、10/25に説明がありました。結論から言えば、

『安全性能を満たしている』

とのこと。

ところで、安全性能という言い方は聞き慣れない言葉です。普通、耐震性能じゃないかな?構造設計者は『安全』という言葉の重みを知っているから、気安く使わないハズなんだけど。構造設計は絶対じゃないからね。『安全』と言っちゃうと、『絶対大丈夫です!』と聞こえるし。

ま、それはさておき。

僕が以前、豊洲市場を巡る問題は『技術論ではない』と書きました↓

豊洲新市場の件は、『技術論』や『正しい・間違い』の問題じゃない。

感情的な人に理路整然と話しても通用しないように。建物の安全性は、落ち着いて話を聞いても素人には分かりにくい。感情的な人や、色眼鏡をつけている人には、なおさら。

そんな数字が信用できるか!

ですよね。分かりますよ、言いたいことは。それでも、なぜ安全性能を満たしている、と言えるのか?10/25の報道内容を中心に考えていきます。

スポンサーリンク

 

コンクリート10mm⇒150mmで荷重は大丈夫?

これについては、計算上の入力ミスがあったようです。構造屋さんの立場を考えると、ゾッとしますよ・・・。よく、そんなに重量オーバーして梁が持ったな、と思いましたが、この荷重を見込んで計算はしていたようです。

ちなみに、140mmのRCの平米重量=24x0.14=3.36kN/㎡です。元の設計用荷重を8.0kN/㎡と仮定します。つまり、増加した荷重と元の荷重の比率を算定すると、(8.0+3.36)/8.0=0.70です。要するに、梁の強度が1.00に対して0.70以下でないと、140mmのRCが増えたとき壊れる、ということです。この比率を『検定比』というのですが、検定比が0.50とかすっごく小さくて、重さが増えても問題なかったようです。

結局これは凡ミスで、重さを見込んで計算していたんだけど、入力を忘れてたってことですね。まぁ、構造計算なんてこんなもんよ。

しかし、これだけでは安全性を証明できたとは言えません。全体的に重量が増加して地震力が増えるのですから。報道よれば、なんと1200トンもの全体重量が増えたようです。1200トンってかなりの物ですな。1200トン=12000kN。12000/3.36=3333㎡という面積に渡って荷重の入力忘れ・・・。僕は1200トンと聞いて、うわ!やばいじゃん!と思ったのですが、建物全体重量の1%以下なので問題ない、ということです。

12000kN増えて、僅か1%とは。規模を調べると、177000㎡!・・・??!は、はぁ・・・デカすぎてイメージ湧きません。とにかくデカイ建物なんですね。17.7万㎡あるんだったら、1200トンなんて大したことないか。僕が普段設計している物件が小物すぎて、自分の経験値が参考になりません。何度も言いますが、要するに、

全く問題ない

ってことですね。ただ、仮定荷重の入力忘れなんて僕でもやったことありませんよ。あったとしても、確認の段階で普通指摘されますし。適判でもチェックしているでしょ?この2重チェックをすり抜けるなんて。審査の方も、『日建設計さんだから』で通っているんでしょうねぇ。なんか、そんな光景が垣間見えました。規模が大きい建物なので、チェックも大変なんでしょうが。

とにかく、荷重の漏れがあった部分は3333㎡でした。これは延床面積の1.7%程度。全体に対して、とても僅かなんですよ。こんな僅かな面積の重さが増えたって、たかが知れているということです。Qu/Qun=1.34(I=1.25は考慮済み)以上あるみたいだし、本当に問題なさそうですけどね。

スポンサーリンク
 

こちらも人気の記事です

ピックアップ記事

  1. 建築系ブログを200記事書いたときのPVは?
  2. アトリエ系事務所のワンマン体制は、どこまで有効か?
  3. 露出柱脚のキレイな納め方のコツ。
  4. ブログの長続きの秘訣は、思いついたことを書くこと。
  5. 建築は自然を壊しているのでは、と言う話

関連記事

  1. 建設業界に関するニュースのこと

    劇的ビフォーアフター終わるってよ。

    大改造!劇的ビフォーアフターが終わりました。もうとっくに終わったと思っ…

  2. 建設業界に関するニュースのこと

    中古住宅市場は成長産業? あと10年後、ストックビジネスがくる!

    今回は、10年後はストックビジネスがくる! ということで考察します。と…

  3. 建築のこと

    隈研吾氏の新国立競技場、その見どころ3つをまとめた。

    ども、tyazukeです。ゴタゴタ続きだったオリンピックの新国…

  4. 建設業界に関するニュースのこと

    建設現場へGO!を読んでみた。

    国土交通省の「-建設産業戦略的広報推進協議会-」が建設現場へGO! -…

  5. 建築のこと

    CLT建築ってどーなのよ。あれこれ口を出します。

    最近にわかに名前を聞くようになった「CLT」。ツイッターのタイムライン…

  6. 労働のこと

    仕事一筋の人がヤバい理由と、構造設計者の7割が削減された将来

    建築設計業界も、いよいよAIのビッグウェーブが押し寄せてきたようですね…

スポンサーリンク

最近の記事

Tazukeのおすすめ書籍

  1. 労働のこと

    仕事一筋の人がヤバい理由と、構造設計者の7割が削減された将来
  2. 一級建築の試験勉強

    一級建築士の試験に使えるスマホ用アプリ5選
  3. 建築のこと

    藤村龍至が唯一無二の存在に成れたメディア戦略について
  4. 構造設計に関すること

    剛域とは?その意味と設定方法について説明します。
  5. 建築のこと

    隈研吾さんが設計したサニーヒルズを見学した話
PAGE TOP